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2013.09.19
泣き虫 笑って女王 世界レスリング「金」登坂 昨年「銀」に涙 両親に成長見せた
【ブダペスト=鈴木智行】いつ流すのかと家族が気をもんだ涙は、最後まで見られなかった。「泣いてばかりだったあの子が笑って世界一になった」。18日にあったレスリング世界選手権の女子48キロ級で金メダルを獲得した登坂(とうさか)絵莉選手(20)=至学館大、富山県高岡市出身。父の修さん(49)と母の安津子(あつこ)さん(49)らに心の成長を示した。
1年前、初出場した世界選手権は終盤の微妙な判定で銀メダル。カナダのマットで顔をグシャグシャにして泣いた。「金メダルは来年とろう」。レスリングで国体優勝経験もある修さんが声をかけてもおえつは止まらなかった。
安津子さんを「何をやらせても負けず嫌い」と驚かせた女の子は9歳から父と同じ道を進んだ。厳しい練習や敗れた試合ではすぐに頬をぬらすが、やめると言いだしたことはなかった。
至学館高(名古屋市)時代から指導する日本代表の栄和人・女子監督は「強さでは吉田(沙保里)や伊調(馨)だが、一番、身を粉にして練習できるのは登坂」。体重を増やすため、寮の食事をすすり泣きながらおなかに詰め込んで力を付けてきた。
この日の登坂選手は涙とは無縁だった。決勝のマットに向かう合間は客席の両親に笑顔を向け、ベネズエラ選手を破った瞬間も顔をほころばせてガッツポーズ。
「あまりにあっさり勝ちすぎて」と本人は話すが、修さんは「ナンバーワンになった自信なのかな」と目を細めた。
(2013年9月19日 中日新聞夕刊10面より)
1年前、初出場した世界選手権は終盤の微妙な判定で銀メダル。カナダのマットで顔をグシャグシャにして泣いた。「金メダルは来年とろう」。レスリングで国体優勝経験もある修さんが声をかけてもおえつは止まらなかった。
安津子さんを「何をやらせても負けず嫌い」と驚かせた女の子は9歳から父と同じ道を進んだ。厳しい練習や敗れた試合ではすぐに頬をぬらすが、やめると言いだしたことはなかった。
至学館高(名古屋市)時代から指導する日本代表の栄和人・女子監督は「強さでは吉田(沙保里)や伊調(馨)だが、一番、身を粉にして練習できるのは登坂」。体重を増やすため、寮の食事をすすり泣きながらおなかに詰め込んで力を付けてきた。
この日の登坂選手は涙とは無縁だった。決勝のマットに向かう合間は客席の両親に笑顔を向け、ベネズエラ選手を破った瞬間も顔をほころばせてガッツポーズ。
「あまりにあっさり勝ちすぎて」と本人は話すが、修さんは「ナンバーワンになった自信なのかな」と目を細めた。
(2013年9月19日 中日新聞夕刊10面より)