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中日新聞掲載の大学記事

2014.02.21

「減災館」名大開館へ 揺れ体感 5階建てで

 名古屋大(名古屋市千種区)は4月、近い将来の発生が懸念される南海トラフ地震など巨大災害に備える「減災館」を東山キャンパスに開館する。建物全体を人工的に揺らす装置を地下部分に配置。建物内にいれば震度3〜4程度の揺れを体感でき、建物自体を実験台として活用できる。

 鉄筋コンクリート地下1階、地上5階建てで、建物をジャッキでけん引して揺らす。超長周期の揺れを再現できる。防災講習会などで訪れた人に体感してもらう。

 5階部分には振動実験室もあり、震度5〜6弱の地震も体験できる。総工費約10億円。

 名古屋大の建物では初となる免震構造で、激しい地震の揺れを吸収する。大地震の時は大学の災害対策室を置き、キャンパスだけでなく地域の復旧や行政との連携の拠点とする。

 ふだんは、企業やさまざまな分野の研究者が連携して災害対策を研究する「減災連携研究センター」が入り、研究拠点とする。

 市民向けの防災教育にも活用する。地殻変動や液状化、活断層などの仕組みを紹介するパネルや模型、古地図、子ども向け資料の展示、歴史資料や書籍、新聞の閲覧コーナーを設ける。「げんさいカフェ」などの講演会も開催する。

 減災連携研究センター長の福和伸夫教授は「この規模の建物を丸ごと揺らして実験台とするのはおそらく世界初。東日本大震災で問題になった超高層ビルの揺れの対策などを考えられれば」と話している。

(2014年2月21日 中日新聞朝刊36面より)
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