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中日新聞掲載の大学記事

2013.08.11

慢性心不全の治療薬原料合成 触媒に市販ボロン酸 廃棄物出ず 名大・石原教授ら発見

 慢性心不全の治療薬の原料となる化合物「カルボン酸アミド」を化学合成するのに、市販されているボロン酸が環境への負担が少ない高性能な触媒として利用できることを、名古屋大大学院工学研究科の石原一彰教授らのグループが発見した。米化学会誌「オーガニック・レターズ」の電子版に発表した。

 アミドは現在、原材料から2段階の化学変化を経て、合成される。合成量と同じ量の廃棄物が出ることが、課題になっている。

 今回の触媒は1段階で合成でき、廃棄物も出ない。グループは、化学構造などを基に、アミドの材料を少し変化させることで、ボロン酸が有効に働くことを突き止めた。

 実験では、原材料に200対1の割合でボロン酸を混ぜると、廃棄物が出ないアミドができあがった。石原教授は「すぐにでも実用化できる。産業界にインパクトを与える成果」と説明している。(中村禎一郎)

(2013年8月11日 中日新聞朝刊県内版より)
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