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中日新聞掲載の大学記事

2013.01.29

NZ沖で国際深海掘削調査に参加 地球内部の謎実感 愛教大の星准教授

■刈谷で31日に報告会 最新の研究成果紹介

 地球の深部のメカニズムを究明する国際プロジェクト「統合国際深海掘削計画(IODP)」に参加した愛知教育大の星博幸准教授(41)が31日、刈谷市の愛教大で一般向けの報告会を開く。最新の研究成果を披露しながら各国の研究者との交流も振り返り、地球科学の魅力を伝える。(岡村淳司)

 IODPは2010年12月から2カ月間、7400万〜5000万年前にできたニュージーランド沖のルイビル海山列を掘削調査した。この結果、プレートの下にあるマントルの深部からマグマが上がってくる地点「ホットスポット」が、マントルの流れに影響されて個別に移動していることが分かった。

 プロジェクトには日本と欧米から30人ほどの研究者が参加。海底から岩石のサンプルを引き上げ、船上で解析する作業を繰り返した。星准教授は公募で参加し、岩石ができた位置を示す古い地磁気を調べる重要な役割を担当。昨年11月に英国科学誌で発表した論文に名を連ねた。

 星准教授はスケールの大きさにひかれて地球科学の道に進んだという。「地球の内部は宇宙よりも分かっていない。調べるほど新たな課題が生まれ、終わりがないと感じた。とても貴重な体験だった」と振り返り、「現場では海外の若い研究者の意欲に驚かされた。日本も負けてはいられない。若い研究者がどんどん海外に出るべきだ。学生にも関心をもってもらいたい」と力を込める。

 東日本大震災で問題になった原発敷地内の活断層調査も地球科学の分野だ。福島県出身の星准教授は「これまで政治的な結論ありきでデータが解釈されてきた。震災を教訓にして、科学者が正しい情報を発信しなければ」と話す。

 報告会は31日午後5時15分から、愛教大本部棟3階第5会議室で。参加無料。(問)秘書広報課=電0566(26)2738

(2013年1月29日 中日新聞朝刊県内版より)

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