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中日新聞掲載の大学記事

2012.10.17

神宮へ最後の挑戦 来春閉学の三重中京大野球部

■則本投手ら4年生24人 「歴史に名刻む」

 来年3月で閉学する三重中京大(三重県松阪市)の野球部が最後のシーズンを迎えている。4年生だけ24人のチームは、秋季三重学生野球リーグを制覇。全国の舞台にもう一度立ち、大学の名前を歴史に刻みたいと、11月に東京で開かれる明治神宮大会出場を目指す。東海地区予選は19日に始まる。(松阪支局・平野梓)

 チームの柱は、八幡商高(滋賀県近江八幡市)出身の則本昂大(のりもとたかひろ)投手。右腕から最速154キロの速球を繰り出す。6月の全日本大学選手権では初戦敗退したが、延長10回まで投げ抜いて20奪三振の大会新記録(参考)を打ち立てた。

 「本当に自分たちだけで最後の年を迎えられるか不安だった」と振り返る。入学直後の2009年4月、大学は入学者の減少から新入生の募集停止を決定。発表当日の朝、グラウンドに集まった部員に顧問が「ほかの大学に編入するなら段取りもできる」と告げた。

 その夜、則本投手ら1年生は松阪市内のスーパー駐車場に集まった。「この学校に残るなら、最後まで真剣にやろう」。誰かの呼び掛けに則本投手は顔を上げた。「この仲間たちと野球を続けたい」

 その後、同期の半数近くが就職活動や個人の事情で退部。それでも則本投手は「残った仲間で最後まで戦い、有終の美を飾る」と決めてきた。

 今年8月、社会人チームなどに挑んだ試合はコールドで4連敗。全国大会に進んだ達成感から抜け出せない空気があった。「試合前や練習のだらだらした態度が、試合に出ているんや」と仲間に厳しい声をかけた。

 部員の意識が変わった。9月に始まった秋季三重学生野球リーグで首位を独走。今月13日の最終戦、四日市大に5−3で勝って10戦全勝で優勝し、神宮大会東海地区予選の出場権を得た。

 神宮大会には前身の松阪大で出場歴はあるが、三重中京大としてはない。強豪大学がひしめく東海、さらに中部地区予選を勝ち抜かなければならない。

 最終戦に先発し、8回を無失点に抑えた則本投手は「全勝優勝でいい流れがつかめた。予選は一戦一戦全力で投げる」。最後の秋が続く。

(2012年10月17日 中日新聞夕刊11面より)
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