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中日新聞掲載の大学記事

2012.01.18

「第2氷河期」大学生奮闘 就活悩む4年生 浪人覚悟 希望の職を

 「第2氷河期」の出口は一向に見えてこない。回復傾向とはいえ、大学生の内定率は「氷河期」と言われた2000年前後と並び、低い水準のままだ。大学では、早い段階から就職を意識した取り組みが広がるが、企業の厳選採用、学生の希望と求人のミスマッチなど、就職を取り巻く環境は容易に改善しそうにない。そんな中、学生たちは「働きたい企業」への憧れと、就職が決まらない現実の間で揺れ動いている。

 南山大4年の男子学生(22)の就職活動は、卒業を目前に控えてもまだ続いている。「内定はほしいけど、自分にあった仕事にもこだわりたい」。目指す就職先との縁はつながらないままだ。

 就職活動が解禁となった一昨年の10月から、興味のあった旅行業界に絞って活動を開始。10社に応募したが、昨年の4月末までに全滅した。

 最後の1社の面接。合格した人だけに連絡が来ることになっていた。

 自宅で知らせを待った。同じ面接を受けていた友人が合格したとインターネットの短文投稿サイト・ツイッターで知った。自分の電話は鳴らないまま、指定の時間はすぎた。吐き気がこみ上げてきた。じっとしていられず自宅から飛び出し、夜の街を走った。

 「どこでも、何でもいいから内定がほしい」。焦りは頂点に達した。片っ端から企業に応募し、昨年7月、小売業界の会社から内定をもらった。

 「もう就活をやめようと思ったけど、興味のある仕事とは全く違う。ふと冷静になり、自分の人生はこれでいいのかと疑問がわいた」。結局、内定は辞退し、活動を続けることに決めた。

 友人は1人、また1人と就職活動を「卒業」していった。「旅行への興味だけで会社を選んでいた。そこで何をしたいのかが分かっていなかった」。新たな気持ちで、自分にあう企業を探し続けている。

 3月末までに就職先が決まらなければ、留年してまた就活をするつもりだ。「お金をかけて『新卒』で居続けるのはおかしいと思うけど、そうでなければ就職は難しいから」

■備える1年生 名城大 面接や適性も指導

 会社説明会の解禁が後ろ倒しになり、来春以降卒業する学生の就職活動がますます厳しくなると予想され、入学直後の1年生を対象に就職を意識してもらうイベントを開く大学も少なくない。

 全国の私大などは、「進路を指導する」という意味を込め、「就職課」の名称を「キャリアセンター」に次々と変更。「何を学ぶために大学に行くのか」を考えるよう高校生に指導するように、「何をするために就職するのか」を学生に指導する例が多い。

 名古屋市天白区の名城大では、キャリアセンターが進路支援講座を設けている。

 「就職の面接では、『学生時代に力を入れたこと』や『あなたの夢』が問われます」。5月に予定されている講座では、1年生に就職を意識した学生生活を送るよう呼びかける。

 どんな職業を目指すのか、自分を見つめ直すための職務適性テストを受ける機会も1、2年生向けに用意。名城大キャリアセンターの上村克義事務部長は「就職支援を授業に組み込んでいる大学もある」と話す。

 来春卒業する大学3年生らを対象にした主要企業の会社説明会は、2011年度からこれまでより約2カ月遅い12月1日に始まった。

 学生が学業に専念する時間を増やす目的で経団連が決めたが、選考活動は従来通り4月1日にスタートする。大学からは歓迎の声が上がる一方、就職担当者らは「説明会の時期が短くなった。開催日が重なり、学生が参加できる機会が減る」と不安を募らせている。

■今春卒業内定率 私立は68.8%

 厚生労働、文部科学両省が17日発表した調査によると、今春卒業予定の大学生の就職内定率は2011年12月1日現在、71.9%。前年同期より3.1ポイント増え、やや改善したものの過去2番目に低い水準にとどまった。男子は前年同期比3.0ポイント増の73.1%、女子は3.1ポイント増の70.5%。国公立では4.7ポイント増の81.4%、私立は2.5ポイント増の68.8%だった。

 短大生は前年同期より2.6ポイント多い47.9%。高校生は昨年11月末時点で前年同期比2.5ポイント増の73.1%だった。

(2012年1月18日 中日新聞朝刊27面より)
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