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お知らせ  2025.05.14

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デジタル力 鍛える9年 金沢市 全国初の小中授業公開

「デジタル科」の授業でプログラミングを体験する生徒たち=13日、石川県野々市市の金沢工業大で

「デジタル科」の授業でプログラミングを体験する生徒たち=13日、石川県野々市市の金沢工業大で

■AI、プログラム、SNS… 「社会に適応」主眼

 金沢市は、本年度から新科目「デジタル科」を小中学校に導入、13日に授業の様子を報道向けに公開した。市によると、デジタル技術を専門で学ぶ科目の設置は全国初。人工知能(AI)や交流サイト(SNS)などが急速に発達、普及するなか、市は小中9年間を通した体系的な学びで、デジタル社会への適応力を育てる狙い。(新居真由香)

 プログラミングや情報モラル教育など個別の項目は昨年度までも取り入れられていたが、算数や理科などで科目の一部として学習するだけにとどまり、実施する頻度も学年や学校によってばらつきがあった。このため市は、主要教科の授業時数を削減して「総合的な学習の時間」に上乗せできる文部科学省の制度を活用してデジタル科を設置。一貫したカリキュラムで授業できるようにした。

 この日公開されたのは、中学2年生を対象に企業や大学が実施する先端技術体験の初回。金沢工業大学(石川県野々市市)で開かれ、金沢市高尾台中の生徒65人が参加した。同大の教員の指導を受け、AIの制作やプログラミングを学習し、大学の研究施設を見学して3Dプリンターなどの機械にも触れた。物体を認識するAIの制作では、ペットボトルやボールペンなどを撮影してAIに学習させ、映像や画像の中から検出できるようにした。

 参加した生徒(13)は「機械やデジタルを専門とする人の話を聞き、AIや物を作り出す様子を間近で見ることができた。中学校ではできない経験だった」と話した。

 デジタル科の授業時数は学年に応じて年5~20時間を確保。科目の評価は記述式で行う。中学校では先端技術体験の他に仮想空間(メタバース)の体験学習を実施し、金沢駅もてなしドームの仮想空間で観光客に喜ばれる仕掛けを考える。

 小学校は全学年でプログラミング学習を実施し、6年生はドローンを操作する。校内で「ロボットアイディアコンテスト」を開催し、児童がプログラミングしたロボットの活用方法まで考える。

 小中学校ともにデータを活用した学習やアニメーション教材を使用して、インターネットやSNSとの正しい向き合い方を学ぶメディアリテラシー教育を取り入れる。

 金沢市教委学校指導課、デジタル・学力向上係の大井山武さんは「9年間を通じて、主体的にデジタル社会と関わる『デジタル力』を高めたい」と期待を込めた。

(2025年5月14日 北陸中日新聞朝刊27面より)
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