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お知らせ  2019.07.23

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折り畳み電動車 お出掛け手助け 高齢者の共同利用 実証実験 大同大が来月から

電動車「SCOO」に体験乗車する実験の参加予定者。右は大同大の樋口恵一講師=名古屋市緑区で(白名正和撮影)

電動車「SCOO」に体験乗車する実験の参加予定者。右は大同大の樋口恵一講師=名古屋市緑区で(白名正和撮影)

 大同大(名古屋市南区)の研究者が8月から、市内の高齢者と連携し、持ち運び可能なパーソナルモビリティー(1人乗りの移動手段)を地域で共同利用する実証実験に取り組む。高齢者の外出を促し、認知症予防や孤立防止を狙う。高齢ドライバーの交通事故が全国で相次ぐ中、移動手段を確保することで免許の自主返納の促進や事故の未然防止にもつなげる。 (白名正和)

 交通と福祉のまちづくりを研究する大同大の樋口恵一講師(35)が、実験を主導。「身体機能が衰え歩行や階段の上り下りが難しくなると、高齢者は外出を控えてしまいがちだ。地域との関わりが薄くなり、ますます外出が少なくなる悪循環になる。パーソナルモビリティーの利用で外出を促し、高齢者の生活の充実につなげたい」と趣旨を説明する。

 同市緑区の「南医療生活協同組合」と協力し、同組合が運営するサービス付き高齢者住宅「おたがいさまの家」(緑区)と、かなめ病院(南区)周辺の2カ所にパーソナルモビリティーを1台ずつ置く。8月から10月まで希望者に共同利用してもらい、その後、外出の頻度や範囲がどう変わったかを検証する。

 要となるパーソナルモビリティーは、岐阜市のキュリオ社が開発した電動式の「SCOO(スクー)」を使う。運転免許は必要なく、歩道を走行できる。重さは電動車いすの半分ほどの30キロ弱で、折り畳んで持ち運びできるため、車に積んで外出先でも使える利点がある。

 利用者のイメージも重要だと、樋口さんは話す。「一般的な電動車いすやシニアカーには、体が動きづらくなった人が使うイメージを持つ人が多く、敬遠されることもある。次世代の乗り物であるSCOOなら、利用への心理的ハードルが低い」

 実験開始に向け、今月8日には「おたがいさまの家」で参加予定者がSCOOに体験乗車した。体験乗車した女性(89)は「乗り方も簡単で、違和感なく乗ることができた」といい、実験開始後は近くのイオンモール大高などへ乗っていく予定だ。

 高齢者の日常的な移動手段を確保することは、運転免許の返納を促すことにもつながりそうだ。というのも、警察庁の2015年のアンケートでは、高齢者が免許返納をためらう理由は「車がないと生活が不便」が68.5%を占めているからだ。

 樋口さんは「軽量で持ち運びできるSCOOは、車と共存できる。悲惨な事故につながらないよう、車を適切に使い頼りすぎない社会モデルを、実験を通してつくりたい」と話した。

(2019年7月23日 中日新聞夕刊1面より)

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