進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > お知らせ

中日新聞掲載の大学記事

お知らせ  2019.05.15

この記事の関連大学

貝の巻き方 遺伝子特定 生物非対称の謎に迫る 中部大チーム

 中部大の黒田玲子特任教授(化学・生物学)のチームが、左巻きか右巻きかを決める巻き貝の遺伝子を突き止め、英科学誌電子版に14日発表した。人の場合心臓が左寄りにあるなど、生き物に存在する左右の非対称性の謎に迫る成果として注目されそうだ。

 この巻き貝は、淡水で生息するヨーロッパモノアラガイ。成貝は約2~2.5センチで、自然界では右巻きが98%、左巻きが2%いる。これまでの黒田特任教授らの研究で、左巻きではLsdia1という遺伝子が全く働いていないことなどが分かっていた。

 今回はゲノム編集という技術を使い、右巻きの貝でLsdia1遺伝子を人為的に欠損させたところ、その子孫が左巻きになり、代々左巻きが遺伝することを発見した。

 受精卵にLsdia1遺伝子のタンパク質があると、2つの細胞に分裂する時の向きが時計回りになるが、ないと反時計回りになることも分かり、左右の非対称性が受精卵という発生の早い段階で起こっていることも判明した。

 Lsdia1とよく似た遺伝子は、人を含めた脊椎動物にも広く存在している。人の臓器の左右の非対称性を制御している別の遺伝子は巻き貝にもあり、Lsdia1と関係していることも分かっている。

 黒田特任教授は「巻き貝ではたった1つの遺伝子が、受精卵の時期から左右の非対称性を決めていて驚きだ。脊椎動物で左右の非対称性を決定する仕組みはより複雑だろうが、決定に至る重要な要素が共通している可能性がある」と語る。

(2019年5月15日 中日新聞朝刊27面より)

戻る < 一覧に戻る > 次へ