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学生活動  2025.07.10

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豊橋刑務支所、日福大と初の連携 社会復帰プログラム 学生ら考案

受刑者たちに質問する学生たち=豊橋市今橋町の豊橋刑務支所で(一部画像処理)

受刑者たちに質問する学生たち=豊橋市今橋町の豊橋刑務支所で(一部画像処理)

 主に女性を収容する名古屋刑務所豊橋刑務支所(豊橋市)で9日、高齢や障害のある受刑者たちが社会復帰準備プログラムを受けた。指導役は司法福祉を学ぶ社会人学生ら。所内の限られた人間関係を広げることで社会生活に慣れさせ、矯正保護を担う人材育成にもつなげようと、支所と日本福祉大(美浜町)が連携して初めて試みた。 (赤川肇)

■受刑者の「伝える力」向上へ 指導役も

 学生らが考案した約1時間のプログラムは、体操や歌唱といった「準備体操」に続き、受刑者が「好きなこと」「自分の良いところ」を答えていく。本人の意思が問われる福祉サービスの利用を見すえ、自分自身を知り、伝える力を養う狙いがある。福祉制度などを学ぶ社会復帰準備指導の一環という位置付けだ。

 30~50代の学生4人と、窃盗や覚醒剤取締法違反の罪で服役中の30~80代の受刑者5人が輪になって集まった。「歌が好き」という受刑者に学生が「好きな歌手は?」「ちょっとだけ歌を聞かせてもらえない?」と水を向け、全員で歌う一幕も。「楽しかったことを思い出して…」と涙を拭う受刑者もいた。

 学生の一人で受刑者らの社会復帰を支える福祉専門官を目指しているという介護福祉士の山田好恵さん(43)は「受刑者の方々は『息子に料理を食べさせたい』『母親とカラオケに行きたい』と人とのつながりを求めていた。社会的孤立をなくすことが再犯防止につながると感じた」と振り返った。

 鷲野明美教授(司法福祉、刑事政策)は「学びの実践機会はありがたい。いろんな背景を持った人たちと接することで、福祉の原点を学んでほしい」と、今後の連携にも意欲を見せた。

 法務省の矯正統計によると、2023年末時点の受刑者数は3万3882人(男性3万965人、女性2917人)で10年前から4割近く減少。うち70歳以上は3402人(男性2936人、女性466人)で16%増えた。

(2025年7月10日 中日新聞朝刊県内総合版より)
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