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学生活動  2018.11.13

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農作業 お礼は作物、食事 美浜 日福大生、地元農家と連携

ミカンの収穫を手伝う学生たち=美浜町浦戸で

ミカンの収穫を手伝う学生たち=美浜町浦戸で

 日本福祉大美浜キャンパスの学生が地域の農家の農作業を手伝い、お礼に農作物や食事をもらう取り組みが10月、美浜町内で始まった。乱れがちな大学生の食生活の改善や、高齢農家らの作業の負担軽減などが目的。大学生たちは取れたての農作物や交流を楽しみながら、汗を流している。(大槻宮子)

 美浜町上野間でキクなどを栽培する花農家、小島加代子さん(79)の畑で今月11日、社会福祉学部1年の伊藤大武(ひろむ)さん(19)と粟飯原あずささん(18)が3時間ほど、草取りなどを手伝った。

 作物が花のため、学生へのお礼は食事。この日は近くの観光農園のレストランで朝食と昼食をごちそうした。休憩時間には、小島さんお手製の鬼まんじゅうやゆで卵などを振る舞った。「作業も助かるけれど、若い人と話すのが楽しい。親元を離れて暮らしていると聞いて、何かしてあげたくなる」とほほ笑んだ。

 三重県出身の伊藤さんと粟飯原さんは、それぞれ大学のそばで下宿生活を送り、自炊している。朝食を抜きがちという粟飯原さんは「バランスのいい食事をいただけて助かります。早起きもできるし、生活のリズムを整えることができたら」と話す。伊藤さんは「やりがいがあるし、コミュニケーションを取るのが楽しい」とにっこり。

 8日には同町浦戸のミカン農家、斎藤昌弥さん(27)の畑で男子学生5人が収穫を手伝った。斎藤さんは家族に女性が多く「男手が必要な作業があるのでありがたい。できればこれからも続けてほしい」と感謝する。社会福祉学部1年の若山颯真さん(19)は「ビニールハウスの張り替えなど、一人ではできないので大変だと思う。いただいたミカンはスーパーのと違って新鮮で甘い」と喜ぶ。

 取り組みを発案したのは、日本福祉大スポーツ科学部の山本和恵助教(51)=スポーツ栄養学。同大の半数近くの学生が下宿生活をしているが、中には節約のために食事を抜いたり、価格が高い野菜を避けたりする学生も。食生活が乱れて体調を崩しやすい傾向があるという。

 地元では、高齢化で農家の作業負担が大きくなっていることや、農作物を多く収穫できたら近所にお裾分けする文化があることを知り、両者が連携を取ることで課題の解決につながればと考えた。

 町とJAあいち知多の美浜営農センターを通じて、農家5軒と農事組合法人の協力を得た。関心を持った美浜キャンパスの1〜3年生23人が10月中旬から来年1月末まで月2回程度、農作業を手助けする。学生は作業風景や受け取った農作物、その農作物を使った料理などを、写真で山本助教に報告。料理教室も実施し、2月上旬には農家を招いて学生の手料理を振る舞う交流会を開く。

 山本助教は「受け取った野菜の調理方法をインターネットで調べて料理している学生もいるし、交流を喜んでくださる農家さんも多い」と手応えを実感。「町内に住んでいてもこれまでは学生と農家さんの間に距離があったが、接点ができた。お互いに刺激し合うことができれば、地域活性化につながる」と力を込めた。来年以降も参加する農家や学生を増やして継続する予定だ。

(2018年11月13日 中日新聞朝刊知多版より)

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