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中日新聞掲載の大学記事

2017.06.30

事業所×愛大生 落花生PR 農福連携へ 若者の知恵

 豊橋市の社会福祉法人「童里夢」が運営する障害者向けの生活介護事業所「奏楽(そうら)」(同市石巻町)が、愛知大豊橋校舎の学生とワークショップを開き、事業所が育てている落花生の商品化について話し合った。障害者が農業に参加する「農福連携」を進めながら、若者の柔軟なアイデアを取り入れ、生産から加工、販売までを手掛ける「6次産業化」を狙う。(相沢紀衣)

 奏楽は、高齢化で畑を耕すことができない近くの住民から土地を借り、ブルーベリーやキュウリなどを栽培してきた。自然栽培にこだわり、作った農作物は事業所の利用者が働くカフェなどで提供している。

 昨年、借りている農地を1500平方メートルから4500平方メートルに広げ、種から育てた落花生1000苗を植えた。

 奏楽の管理者、中島博之さん(50)は「付加価値を付けて売り出すことで、月5000〜1万円で働く障害者の工賃を上げたい」と願う。

 24日に奏楽であったワークショップには、愛知大地域政策学部の3、4年生約20人が授業の一環で参加した。5つの班に分かれ、それぞれに奏楽の職員が2人ずつ加わった。

 まずは、落花生を使った人気商品「柿の種」がなぜ売れるのかを分析。学生からは「飽きない味」「いろんな世代が食べられる」などの意見が出た。

 続いて人気の秘密を念頭にアイデアを出し合い、職員の意見も聞いて実現可能性を検証した。3年の橋本貴弘さん(20)の班では「ピーナツバターってあるけど、ジャムにするのはどう?」「殻を活用してお茶にできないか」とユニークな案が続々。商品だけでなく、PRのために収穫祭の開催や、凝ったパッケージデザインを提案する班もあった。

 奏楽で栽培を担当する堀江修司さん(35)は「収穫に合わせたイベントを開くのはいいと思う。若者ならではの視点がおもしろかった」。

 3年の中野達貴さん(21)は「現場の人手や使える機材などを分かっている職員の方と話し合えて良かった。今後も関われれば」と振り返った。

 中島さんは「利用者にとって、自分で作ったものを売り、お礼を言われる喜びは自信につながる。学生の意見を取り入れてコラボ商品を作れたら」と話している。

(2017年6月30日 中日新聞朝刊東三河版より)
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