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中日新聞掲載の大学記事

2017.07.01

ビワマス 低コスト養殖 長浜のセンター バイオ大開発の餌で出荷へ

 湖魚の養殖などを手掛ける長浜市南浜町の「びわ鮎センター」は、長浜バイオ大が開発した餌を与えて育てたビワマスを7月中旬に試験出荷する。調理後に廃棄する魚の部位などを再利用するため、養殖の低コスト化が見通せるようになった。養殖期間も通常より2カ月ほど短く、安定供給にも期待が掛かる。

 ビワマスは「琵琶湖の宝石」とも呼ばれ、マグロのトロに匹敵するという上質の脂が特長。天然物の漁獲量は限られ、2012年ごろから県内で養殖が本格化している。だが、センターの川瀬利弥社長(60)によると、いけすに地下水をくみ上げるための電気代などがかさみ、採算を合わせるのが難しいという。

 センターの依頼を受けたバイオ大食品分子機能学研究室の河内浩行准教授と学生らは、11年ごろから、高品質、低コストの餌の研究に着手。原材料にアユ、ウグイ、ビワマスの廃棄部位をそれぞれ使った餌と、ビールを造る際に出る搾りかすなどをベースにした計4種類を開発した。いずれの原材料にも「PPARγ(ガンマ)型」と呼ばれる脂肪を増やすタンパク質の活性化成分を含むことを突き止めた。

 今年3月から、いけすで4種の餌を与えて養殖。700〜800グラムまで育ち、7月中旬ごろから計2トンを長浜地方卸売市場に試験出荷するめどが立った。

 30日に市内で食味会を開き、養殖業者や漁協関係者が、4種類の餌と市販の餌を与えて育てたビワマスを食べ比べた。つや、歯触り、味を審査し、4種類のうち2種類が市販より高評価を受けた。

 川瀬社長は「養殖ビワマスのブランド化と事業の確立に向けて1歩前進した。今後、4種の餌の配合も進め、ノウハウを業界に広げていきたい」と話した。(渡辺大地)

(2017年7月1日 中日新聞朝刊滋賀総合版より)
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