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中日新聞掲載の大学記事

2017.06.23

河川の外来種カメ 駆除 生態系 影響防げ 豊田市内 計823匹

 豊田市西部を流れる逢妻女川と逢妻男川で6月、在来種のカメや水草などの生態系に悪影響を及ぼす外来種「ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)」の一斉捕獲があり、計6日間で823匹を捕まえた。中心となった市矢作川研究所は今後、アカミミガメを減らしたことによる影響を注視していく方針だ。(森本尚平)

 捕獲は、同研究所や愛知学泉大、トヨタ自動車などの企業、地域住民でつくる「豊田市アカミミガメ防除プロジェクト実行委」が分担して取り組んだ。6日間でのべ486人が参加した。

 アカミミガメは、積極的な防除が必要とされる「緊急対策外来種」に国から指定されている。女川、男川ではそれぞれ502匹、594匹のカメを捕獲。このうち380匹、443匹がアカミミガメだった。残りはイシガメやクサガメなどの在来種で、そのまま川にかえした。

 同研究所は昨年10〜11月、両河川に生息するカメを、小型無人機「ドローン」による空撮や、研究員らの目視で調査。6〜8割がアカミミガメと分かった。今回の捕獲は、調査結果に基づいて、カメの生息数が多いとみられる場所を選び、女川37カ所、男川32カ所に、魚のあらを入れた籠わな計100個を仕掛けた。

 同研究所の山本大輔研究員(33)は「今回でアカミミガメの生息数を減らすことができた。今後、実行委で報告し、対応を考えていきたい」と話した。

 カメの生態に詳しい愛知学泉大の矢部隆教授(54)はアカミミガメについて「気性が荒く在来種のカメを追いやる。雑食で水生植物を食い荒らし、ハスやレンコンなどの被害報告も出ている」と話す。

 アカミミガメは、幼体がミドリガメの通称でペットとして販売され、家庭で飼われなくなったものが川や池沼に捨てられて繁殖している。

 矢部教授は「防除に加えて、野生化を防ぐために捨てないよう呼び掛けていきたい」と話した。

(2017年6月23日 中日新聞朝刊豊田版より)
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