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2012.02.08
壁新聞魂受け継ぐ 椙山女学園大 WEB公開
■石巻日日新聞の3.11 学生が映像記録を制作
東日本大震災で社屋が被災しながらも、手書きの新聞を発行した石巻日日(ひび)新聞(宮城県石巻市)。当時の様子や震災からの思いを記者らにインタビューした映像記録を、椙山女学園大(名古屋市千種区)文化情報学部教授の栃窪(とちくぼ)優二さん(57)とゼミの学生らが制作した。8日、インターネット上で公開を始めた。栃窪さんは「被災者であると同時に、客観的に震災からの1年近くを見つめてきた地域紙記者の証言を残したい」と話す。 (丸田稔之)
映像は「6枚の壁新聞から1年」(5分30秒)と「被災者の思い」(6分45秒)の2本。記者の証言を短編ドキュメンタリーに仕上げた。
栃窪さんは仙台市出身。1993年から2年間、地元テレビ局の記者として石巻市で勤務した。昨年4月に今回の取材を始め、旧知の石巻日日新聞報道部長、武内宏之さんへのインタビューを中心に5時間分を撮影した。
震災で輪転機が浸水し、動かなくなった。作品で武内さんが心境を打ち明けている。
「何もしないのは自分たちの存在を否定することになる。今使えるペンと残っている紙で私たちができるのは伝えること」
「新聞を途絶えさせてはならない。出し続けるのが地域の復興につながる」
「街はきれいになってきた。目に見えない被災者の心の問題はまだサポートが必要」
ゼミの3年生8人はナレーションや編集、音響を担当した。水野真紀子さん(21)は「被災者が未来に向かって頑張る気持ちを明るい曲で表現していいのか、選曲が難しかった」と漏らす。服部奈穂さん(21)は「壁新聞の思いを私たちが受け継ぎ、インターネットで見てくれる人につなぎたい」と語る。
■「地域紙記者の証言 後世に」
石巻日日新聞は、震災で購読者や広告収入が減った。栃窪さんは月額1000円のウェブ版を購読している。津波で自宅を失った若手記者の姿を続編で伝える予定だ。将来は短編集をDVDにまとめたいという。今回の映像の英語版も学内でつくり、海外に配信する計画もある。
栃窪さんは「学生や中高生には、震災の記憶を伝えることの大切さを感じてほしい」と話している。
映像は椙山女学園大文化情報学部のサイトと中日新聞社のホームページで視聴できる。
(2012年2月8日 中日新聞夕刊11面より)
東日本大震災で社屋が被災しながらも、手書きの新聞を発行した石巻日日(ひび)新聞(宮城県石巻市)。当時の様子や震災からの思いを記者らにインタビューした映像記録を、椙山女学園大(名古屋市千種区)文化情報学部教授の栃窪(とちくぼ)優二さん(57)とゼミの学生らが制作した。8日、インターネット上で公開を始めた。栃窪さんは「被災者であると同時に、客観的に震災からの1年近くを見つめてきた地域紙記者の証言を残したい」と話す。 (丸田稔之)
映像は「6枚の壁新聞から1年」(5分30秒)と「被災者の思い」(6分45秒)の2本。記者の証言を短編ドキュメンタリーに仕上げた。
栃窪さんは仙台市出身。1993年から2年間、地元テレビ局の記者として石巻市で勤務した。昨年4月に今回の取材を始め、旧知の石巻日日新聞報道部長、武内宏之さんへのインタビューを中心に5時間分を撮影した。
震災で輪転機が浸水し、動かなくなった。作品で武内さんが心境を打ち明けている。
「何もしないのは自分たちの存在を否定することになる。今使えるペンと残っている紙で私たちができるのは伝えること」
「新聞を途絶えさせてはならない。出し続けるのが地域の復興につながる」
「街はきれいになってきた。目に見えない被災者の心の問題はまだサポートが必要」
ゼミの3年生8人はナレーションや編集、音響を担当した。水野真紀子さん(21)は「被災者が未来に向かって頑張る気持ちを明るい曲で表現していいのか、選曲が難しかった」と漏らす。服部奈穂さん(21)は「壁新聞の思いを私たちが受け継ぎ、インターネットで見てくれる人につなぎたい」と語る。
■「地域紙記者の証言 後世に」
石巻日日新聞は、震災で購読者や広告収入が減った。栃窪さんは月額1000円のウェブ版を購読している。津波で自宅を失った若手記者の姿を続編で伝える予定だ。将来は短編集をDVDにまとめたいという。今回の映像の英語版も学内でつくり、海外に配信する計画もある。
栃窪さんは「学生や中高生には、震災の記憶を伝えることの大切さを感じてほしい」と話している。
映像は椙山女学園大文化情報学部のサイトと中日新聞社のホームページで視聴できる。
(2012年2月8日 中日新聞夕刊11面より)