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中日新聞掲載の大学記事

2011.08.03

東海地震の時何ができる? 保育士の卵 笑顔の使者 

■名短大生19人 石巻の園でボランティア 災害時判断学ぶ

 東日本大震災で被災した宮城県石巻市の保育園で、名古屋短大(愛知県豊明市)保育科の学生19人が保育ボランティアに取り組んでいる。「子どもたちに笑顔を届けたい」との思いはもちろん、東海地震が起きた際に被災地となる地元で保育の専門家として何ができるのかを探る活動にもなっている。(鎮西努、写真も)

 石巻市中心部にほど近い、なかよし保育園。子どもたちに人気の絵本「はらぺこあおむし」の曲を歌う園児の声が響いていた。「あおむしは最後は何になったかな」と学生が声を掛けると、園児たちは「チョウチョ」の大合唱。笑顔が広がった。

 学生たちは「保育の知識を生かしたボランティアをしたい」と1日に石巻入りした。引率の野津牧准教授には、継続的な顔の見える支援に加え、東海地震発生時に何ができるかを問い直すきっかけにしてほしいとの思いがある。

 初めて会った子どもたちは思っていた以上に元気に見えた。だが心は見えない。地震の衝撃の後、子どもたちはどう過ごしてきたのか。「東海地震では学生自身も被災し、短大も避難所になる。そのとき何ができるか」と野津准教授。

 なかよし保育園に直接の津波被害はなかったが、地盤の低い地区一体は冠水。66人の園児のうち5人は園舎2階で一夜を過ごし、自衛隊の救援ボートで親が迎えに来るまで、じっと待った。園舎も40センチほど床上浸水し、3月中は休園した。

 4月に園が再開した時、子どもたちは「地震だ、逃げろ」と遊ぶ「地震ごっこ」をしたり、「お星さまになった」という言葉がはやったりして、保育士を驚かせた。その後は落ち着いてきたという。

 大橋巳津子園長は「慣れ親しんだ園で、いつもの保育士と接することで気持ちが前向きになってきた」と話した。

 学生たちは5日まで保育園に泊まり込み、持参した短大の備蓄食料を自炊して、園児と触れ合う。

 リーダーの保育専攻科2年青山桂子さん(22)=名古屋市昭和区=は「保育士の方と話をして、災害時の判断の大切さを教わった。命を預かる保育職の重さをあらためて感じた」と話した。

(2011年8月3日 中日新聞夕刊11面より)
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