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2010.12.09
第2の松本狙う 愛工大荻野 巨人入団
■50メートル5秒8の俊足、遠投115メートルの強肩
巨人に育成選手として入団する愛工大・荻野貴幸遊撃手(22)の背番号は「004」に決まった。いままで育成組は100番以降だったが、来季からは0から始まる3ケタのものに変更。50メートル5秒8の快速で、この背番号を“出世ナンバー”とできるか。
■長谷部の後輩
先輩とは、ありがたいものである。育成ドラフトで巨人から指名されると、荻野は楽天の左腕・長谷部から、すぐさまこんな連絡をもらっている。「巨人の寮って規則がきついけど、大丈夫か? 練習もきつい。(年明けの)合同自主トレには体をつくっていかないと、そこで“乗り遅れる”と、たいへんだぞ」。愛知・杜若高−愛工大を通じて3年先輩で、荻野が大学1年時にはレギュラー遊撃手としてエース・長谷部の雄姿をみながらプレーした。
その長谷部は契約金1億円で、鳴り物入りのドラフト1位。一方、荻野は契約金なしの支度金300万円、年俸はわずか240万円でのプロスタートとなった。「これから所得税を引かれ、2年目には住民税も払わなきゃ…。ヤバいですよ。寮に引きこもっておカネを使わない生活をするしか…」と、冗談まじりで金銭面の苦境を訴えた。しかし、このハングリーがきっと荻野のジャンプ台になる。
■どこでも守る
50メートルを5秒8で駆ける俊足自慢で、遠投115メートルの強肩。担当の巨人・藤本スカウトからは「内外野、どこでも守れるように」と声をかけられ、二遊間用と三塁手用、外野用と3つのグラブを早速注文。戦力のスキ間を突いて、支配下選手登録へのチャンスをつかもうというわけだ。
巨人の育成出身からは、昨季の新人王を獲得した松本というキラ星がいる。「左打ちで、足が速い。粘ってのつなぎの打撃、盗塁もできる。ボクと同じタイプだから親近感がある。巨人は育成選手に力を入れている球団だから、売り物を1つ作って、それをアピールしたい」と荻野は“第2の松本”を目指す。
実は、家電販売の大手エイデンに正社員として採用が内定していた。プロから指名がなければ、社会人野球のエイデン愛工大OB BLITZ入り。大学ではマーケティング情報学科で、消費者にアピールする売り場の商品展示などを学んできたから、「ボクにはピッタリの仕事だった」と荻野。就職氷河期の時代に、内定辞退はもったいないが、サラリーマンの安定を捨て、プロで勝負に出る。 (阿知波浩二)
▼荻野貴幸(おぎの・たかゆき)
1988(昭和63)年4月15日、名古屋市北区生まれの22歳。176センチ、65キロ、右投げ左打ち。辻小3年秋から軟式少年野球「守山ボーイズ」で野球を始め、北稜中時代は硬式の少年野球「瀬戸シニア」に所属。愛知・杜若高−愛工大を通じて主に「1番・遊撃手」として活躍。高校では最後の夏の愛知大会準々決勝で敗退。大学では1年の冬に大学ジャパン候補合宿に参加。
(写真)巨人に育成選手で入団する荻野貴幸遊撃手(右)は、同期のエース・長瀬(左)とともにダッシュの練習=愛知県豊田市の愛工大で
(2010年12月9日 中日スポーツ8面より)
巨人に育成選手として入団する愛工大・荻野貴幸遊撃手(22)の背番号は「004」に決まった。いままで育成組は100番以降だったが、来季からは0から始まる3ケタのものに変更。50メートル5秒8の快速で、この背番号を“出世ナンバー”とできるか。
■長谷部の後輩
先輩とは、ありがたいものである。育成ドラフトで巨人から指名されると、荻野は楽天の左腕・長谷部から、すぐさまこんな連絡をもらっている。「巨人の寮って規則がきついけど、大丈夫か? 練習もきつい。(年明けの)合同自主トレには体をつくっていかないと、そこで“乗り遅れる”と、たいへんだぞ」。愛知・杜若高−愛工大を通じて3年先輩で、荻野が大学1年時にはレギュラー遊撃手としてエース・長谷部の雄姿をみながらプレーした。
その長谷部は契約金1億円で、鳴り物入りのドラフト1位。一方、荻野は契約金なしの支度金300万円、年俸はわずか240万円でのプロスタートとなった。「これから所得税を引かれ、2年目には住民税も払わなきゃ…。ヤバいですよ。寮に引きこもっておカネを使わない生活をするしか…」と、冗談まじりで金銭面の苦境を訴えた。しかし、このハングリーがきっと荻野のジャンプ台になる。
■どこでも守る
50メートルを5秒8で駆ける俊足自慢で、遠投115メートルの強肩。担当の巨人・藤本スカウトからは「内外野、どこでも守れるように」と声をかけられ、二遊間用と三塁手用、外野用と3つのグラブを早速注文。戦力のスキ間を突いて、支配下選手登録へのチャンスをつかもうというわけだ。
巨人の育成出身からは、昨季の新人王を獲得した松本というキラ星がいる。「左打ちで、足が速い。粘ってのつなぎの打撃、盗塁もできる。ボクと同じタイプだから親近感がある。巨人は育成選手に力を入れている球団だから、売り物を1つ作って、それをアピールしたい」と荻野は“第2の松本”を目指す。
実は、家電販売の大手エイデンに正社員として採用が内定していた。プロから指名がなければ、社会人野球のエイデン愛工大OB BLITZ入り。大学ではマーケティング情報学科で、消費者にアピールする売り場の商品展示などを学んできたから、「ボクにはピッタリの仕事だった」と荻野。就職氷河期の時代に、内定辞退はもったいないが、サラリーマンの安定を捨て、プロで勝負に出る。 (阿知波浩二)
▼荻野貴幸(おぎの・たかゆき)
1988(昭和63)年4月15日、名古屋市北区生まれの22歳。176センチ、65キロ、右投げ左打ち。辻小3年秋から軟式少年野球「守山ボーイズ」で野球を始め、北稜中時代は硬式の少年野球「瀬戸シニア」に所属。愛知・杜若高−愛工大を通じて主に「1番・遊撃手」として活躍。高校では最後の夏の愛知大会準々決勝で敗退。大学では1年の冬に大学ジャパン候補合宿に参加。
(写真)巨人に育成選手で入団する荻野貴幸遊撃手(右)は、同期のエース・長瀬(左)とともにダッシュの練習=愛知県豊田市の愛工大で
(2010年12月9日 中日スポーツ8面より)