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2010.10.20
地球生きもの会議 COP10 NAGOYA 名古屋学院大でシンポ
■野生生物助ける道は? 分断の森つなぐ人工通路を報告
開発によって行動範囲を分断された動物が行き来できるように作られた通路「アニマルパスウェイ」をテーマにしたシンポジウムが19日、COP10会場隣の名古屋学院大で開かれた。
アニマルパスウェイ研究会(会長・湊秋作関西学院大教授)が主催。湊教授は、1996年から山梨県で取り組むヤマネやリスの移動用の通路を紹介。動物が伝うワイヤの太さや形を建設会社と研究し、分断された森と森をつないだ経緯を説明し「森の動物を守ることで豊かな自然が保たれ、人間のためにもなる」と力を込めた。
東山動物園(名古屋市千種区)の飼育員木村幸一さんは昨年、ボルネオ島で、生息数の減少が続くオランウータン用につり橋を架ける活動に参加した経験を報告。耐久性に優れる日本の消防ホースをつなぎ、長さ40メートルの橋を完成させた様子を語った。
帯広畜産大の柳川久教授は、丸太をつないだエゾリス用の通路や、高架道路下にコウモリなどを移動させるトンネルを作った例を発表。「開発区域にすむ動物を知り、どのような通路が効果的か考えることが重要」と強調した。
元英ロンドン大講師パット・モリスさんは、道路上に架けた橋「グリーン・ビレッジ」について、芝や木を植えたことで、少なくともリスなど7種が使っていることが分かったという。
聴講者からは「行政は協力しているのか」「今後の課題は」など質問が相次いだ。湊教授は「活動は官学民の共同で行っている。今後も通路の利用状況を把握して改善を図り、普及に努めたい」などと説明した。(COP10取材班・斉藤珠美)
(写真)野生動物の移動経路「アニマルパスウェイ」の確保について討議されたシンポジウム=19日、名古屋市熱田区の名古屋学院大で
(2010年10月20日 中日新聞朝刊27面より)
開発によって行動範囲を分断された動物が行き来できるように作られた通路「アニマルパスウェイ」をテーマにしたシンポジウムが19日、COP10会場隣の名古屋学院大で開かれた。
アニマルパスウェイ研究会(会長・湊秋作関西学院大教授)が主催。湊教授は、1996年から山梨県で取り組むヤマネやリスの移動用の通路を紹介。動物が伝うワイヤの太さや形を建設会社と研究し、分断された森と森をつないだ経緯を説明し「森の動物を守ることで豊かな自然が保たれ、人間のためにもなる」と力を込めた。
東山動物園(名古屋市千種区)の飼育員木村幸一さんは昨年、ボルネオ島で、生息数の減少が続くオランウータン用につり橋を架ける活動に参加した経験を報告。耐久性に優れる日本の消防ホースをつなぎ、長さ40メートルの橋を完成させた様子を語った。
帯広畜産大の柳川久教授は、丸太をつないだエゾリス用の通路や、高架道路下にコウモリなどを移動させるトンネルを作った例を発表。「開発区域にすむ動物を知り、どのような通路が効果的か考えることが重要」と強調した。
元英ロンドン大講師パット・モリスさんは、道路上に架けた橋「グリーン・ビレッジ」について、芝や木を植えたことで、少なくともリスなど7種が使っていることが分かったという。
聴講者からは「行政は協力しているのか」「今後の課題は」など質問が相次いだ。湊教授は「活動は官学民の共同で行っている。今後も通路の利用状況を把握して改善を図り、普及に努めたい」などと説明した。(COP10取材班・斉藤珠美)
(写真)野生動物の移動経路「アニマルパスウェイ」の確保について討議されたシンポジウム=19日、名古屋市熱田区の名古屋学院大で
(2010年10月20日 中日新聞朝刊27面より)