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学生活動 2025.04.16
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きしめん端材でSDGsな粘土 愛知・豊山 製麺所と南山大生

南山大の学生と一緒に粘土で遊ぶ児童=愛知県豊山町の新栄小で
■自然に優しく、もちもち
同社では、2023年春に発売した幅の広いきしめんから従来品の約2倍の廃棄端材が出ることが懸案だった。商品の外装を手がけている取引先の紹介で、南山大(名古屋市)の学生団体「SDGs普及啓発団体CLOVER」に相談。学生のアイデアを基に端材を有効活用することにした。
学生たちは当初、クッキーなどのお菓子を作る案を出した。しかし、同社広報担当の秋田千晴さん(61)は食品製造のプロの観点で、「余り物で作った食べ物は、どうしても品質が落ちてしまう」と指摘。「『端材だから品質が悪くても仕方ない』ではなく、商品として出来の良いものが作りたい」と伝え、きしめん用の小麦粉の良さが生かせる粘土のアイデアを引き出した。
材料はすべて食品由来で、除草剤を控えた小麦を使用。食品由来ゆえに発生しやすいカビを塩などで抑えるため、材料配分テストを繰り返し約2年かけて完成にこぎ着けた。安全基準を満たしていることを示す「STマーク」も取得するなど、安心安全にこだわった。
3月に発売し、ピンクと白、緑の3色セットで1100円。秋田製麺所のオンラインショップや工場で販売しており、豊山町のふるさと納税の返礼品にも登録された。
子どもたちへのSDGs普及活動にも活用する。発売後、同団体が同町新栄小学校で開いたワークショップでは、1~3年生20人がきしめんどで遊んだ。学生7人がごみの焼却と地球温暖化の関係などを教え、ごみ減量の大切さを説いた。きしめんどに触れた児童たちは「すごいもちもち」と楽しみながら、動物やお菓子の形を作って遊んだ。
同団体の田中芳宙(よしそら)さん(20)=南山大3年=は「捨てられるはずだった端材を使った粘土で遊んで、SDGsについて考えるきっかけになればいい」と期待した。
(2025年4月16日 中日新聞夕刊1面より)