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お知らせ  2024.12.07

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眠気を眼球の動きで察知 休息促す技術へ応用期待

眠気に伴う頭部と眼球の動きを調べる実験を再現する山中都史美さん(右)=愛知県春日井市の中部大で

眠気に伴う頭部と眼球の動きを調べる実験を再現する山中都史美さん(右)=愛知県春日井市の中部大で

■中部大チームが特定

 わずかな眼球の動きの変化から人の眠気を検知できることを中部大(愛知県春日井市)の研究チームが突き止めた。脈拍が頭部に引き起こすかすかな揺れを補正する目の動きに着目した研究で、仕事や勉強中の眠気をいち早く察知し、適切な休息を促す技術などへの応用が期待される。(牧真一郎)

 中部大の大学院工学研究科ロボット理工学専攻の山中都史美(としみ)さん(28)と理工学部AIロボティクス学科の平田豊教授(57)らのグループ。

 平田教授によると、自動車運転など頭部が強く揺れる際に視野のぶれをなくすために反射性の眼球運動の「前庭動眼反射」が起きることは知られていた。しかし、室内での仕事や勉強など安静時では検知できていなかった。

 山中さんは同大の学生14人の頭に心拍や呼吸による微小な頭部の動きを検出できる特殊な角速度計を装着し、眼球の動きをカメラで撮影して調べた。すると、心拍による頭部のかすかな動きでも、逆向きにほぼ同じスピードで眼球を回転させて無意識に視野を安定させる前庭動眼反射が起きていることを発見した。この運動は、ビデオカメラの手ぶれ防止機能に似ているという。

 さらに、眠気が与える影響を検証するため学生らが自己申告した眠気のレベルに基づいてデータを分析。眠い時には眼球の反射の精度や感度が悪くなることが分かった。

 山中さんらは「はっきり眠気を感じる前の段階でも検知できた。自動車運転での居眠り防止だけでなく、普段の生活でスマートフォンなどを使って簡単に眠気の予兆をつかめる。勉強や仕事の効率化にもつながる」と話す。研究成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載された。

(2024年12月7日 中日新聞朝刊30面より)

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