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お知らせ  2023.11.05

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高齢者の記憶 子どもが活性化 愛知淑徳大の教授が研究

■多世代交流 脳に良い影響か

 おじいさん、おばあさんは子どもと会話すると、自分の小さい頃の記憶がよみがえりやすい-。愛知淑徳大の坂田陽子教授(発達心理学)の研究で、そうした傾向が明らかになり、近く英学術誌に掲載される。漠然と「良い」と捉えられていた多世代交流の利点を科学的に示せる可能性もあるという。成果は認知症予防への応用を目指す。(水谷元海)

 実験では、高齢の対象者に、さまざまな年齢の聞き手が一対一で「思い出を教えて」と尋ね、思い出を話し終えると「その時の年齢は」と聞いた。対象者1人につき、同じ聞き手で3回繰り返し、聞き手の年齢の違いが思い出話の時期に影響するか調べた。

 対象者は60~88歳(平均75歳)の79人で、聞いた回数は合計237回。聞き手は10~84歳の26人で、▽子ども▽大学生▽中年成人▽高齢者-の4グループに分けた。思い出話の時期も10歳単位で七つに区分し、聞き手のグループとの関連を調べた。

 その結果、子どもが聞き手の時、思い出話の58%が9歳以下の出来事で、大学生の14%、中年成人の6%、高齢者の8%を大きく上回った。質問の回数を重ねると、思い出の時期が聞き手の年齢に近づくことも分かった。高齢者は10~30代の思い出が強く残っているという定説に一石を投じた形で、坂田教授は「高齢者は対話相手の年代に合わせて話題を選ぶコミュニケーション能力を持つ」とみる。

 坂田教授は今後、高齢者が幼少の記憶を思い出すと認知症予防に効果があるのかなどを調べる。「高齢者が孤立せず多様な世代と共生することが、脳に良い影響を与える可能性がある」と話している。

(2023年11月5日 中日新聞朝刊1面より)

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