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お知らせ  2019.08.10

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ALS患者、インスリン低下 名大など特定 病状把握の目印に

 次第に全身が動かせなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の患者は、血糖値を下げるインスリンの分泌能力も低下していることを、名古屋大大学院医学系研究科や愛知医科大などのグループが突き止めた。病気の状態を判定する「バイオマーカー」への活用が期待される。研究成果は米科学誌に掲載された。

 ALSは筋肉を動かす神経細胞が傷み、全身の筋肉が萎縮する病気。国内の患者数は約1万人。以前から患者の血糖値が上がりやすくなることは知られていたが、関連性は明らかにされていなかった。

 研究グループは、ALS患者の神経細胞で核内にはみられず、核外に蓄積する特徴があるタンパク質「TDP43」に着目。マウスを使った実験で、インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)の細胞の核からTDP43を取り除いた状態にすると、インスリンの分泌能力が半数以下に低下した。初期のALS患者でも同様に分泌能力が低くなっていることを確認した。名大の勝野雅央教授(神経内科学)は「ALSと関係するタンパク質が、インスリンの分泌機能まで異常を引き起こしていることを証明した。糖尿病のメカニズム解明につながることも期待される」と話した

(2019年8月10日 中日新聞朝刊27面より)

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