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学生活動  2018.03.31

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岩村の思い出の味 サバ煮 名古屋の学生復刻

試作したサバ煮を手にする学生たち=岐阜県恵那市岩村町で

試作したサバ煮を手にする学生たち=岐阜県恵那市岩村町で

 岐阜県恵那市岩村町で4年前に閉店した食品店「カネニ商店」のサバ煮を、愛知県の大学生たちが復刻した。人気の総菜を通じ、住民同士の結び付きを強めるのが狙い。4月1日のイベントでの販売を皮切りに、地域の活性化に役立てていく。(吉岡雅幸)

 カネニ商店は岩村町本通りの西町地区で、西尾福之輔さん(81)と二三江さん(79)の夫妻が営んでいた。手作りの総菜も売り、一切れ100〜120円のサバ煮が最も人気があった。二三江さんの病気を理由に4年前に閉店し、建物は2年前に火事で焼失した。

 復刻は岩村町で福祉施設を運営する「耕グループ」で昨年8〜9月、インターンシップ(就業体験)をした名古屋大と南山大の学生6人が考えた。地域課題の解決につながる新規事業を提案するというテーマを与えられ、耕グループの高齢者施設「くわのみ」の利用者や住民から話を聞く中で地域の憩いの場が足りないと分析。閉店したカネニ商店が交流の場となっていたと結論づけた。

 学生たちはカネニ商店のような憩いの場をつくるきっかけとして、看板メニューであるサバ煮の復刻を耕グループに提案した。インターン終了後も自主的に集まり、岩村へ通って西尾さん夫妻に作り方を聞いたり、チラシを考えたりした。

 今月18日には地区の公共施設に住民を招き、試食会を開いた。しょうゆと砂糖で煮込んだサバ煮に、参加者は「この味だ」とうなずいたという。

 4月1日は午前11時からカネニ商店の跡地を使い、150円で500食を販売する。ご飯にぴったりの味を楽しんでもらおうと、白米も50円で売る。

 二三江さんは「誰かやってくれる人はいないかと思っていた。とてもうれしい」と歓迎する。南山大3年の市村明里さん(21)は「地域の結び付きを強め、活気をもたらすきっかけにしたい」、名古屋大2年の中野萌希(ともき)さん(20)は「何とか復活につなげたい」と意気込みを語る。

 今後も月1回のペースで販売を続ける。耕グループ地域事業課の小林正道課長(42)は「提案を受けて後は会社でやろうと思っていたが、学生が意欲的で驚いた。販売を続ける中で、地域に憩いの場をつくる意義を住民に理解してもらえたら」と願う。(問)耕グループ=0573(43)0148

(2018年3月31日 中日新聞朝刊市民総合版より)

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