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中日新聞掲載の大学記事

2016.11.23

天野教授ら 新研究拠点 名大と茨城 「パワー半導体」開発へ

 2014年にノーベル物理学賞を受賞した名古屋大の天野浩教授は22日、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)と連携し、省エネの切り札と期待される次世代型の「パワー半導体」の研究拠点を双方に設置すると発表した。ノーベル賞の理由となった材料の研究を発展させる。天野教授は東京都内で会見し、「3年後には10分の1まで低コスト化し信頼できる基盤技術を提供する」と語った。(三輪喜人、坪井千隼)

 パワー半導体は、電気の流れを制御する電子部品で、電気自動車や鉄道、家電などで利用されている。現在の主流はシリコン素材だが、次世代型として窒化ガリウム(GaN)を材料に使うことで省電力化と小型化できる。普及すれば国内の電力使用量を1割以上抑えられるが、GaN結晶の品質向上などが課題となっている。

 名大は構内にクリーンルーム棟や新研究棟の整備を進めるなどしており、国内の研究機関などとの連携も模索していた。

 今回、発表した2カ所の研究拠点は本年度末までに新設し、合わせて10人程度の研究者が参加する。それぞれの最先端設備を共同利用し、名大が結晶や半導体を作製、機構が分析、評価する。名大は天野教授、機構は小出康夫理事を代表とし「天野・小出共同研究ラボ」と名付ける。

 2人は、赤崎勇名城大終身教授が1980年代、教授を務めていた名大の研究室で大学院時代を過ごした仲。小出理事が1年先輩で、窒化ガリウム結晶化装置の第1号を2人で作り上げた。天野教授は「小出先輩とまた一緒に仕事できることになり感慨深い。赤崎先生の先見の明があったからこそ」と感謝した。

 天野教授は、青色発光ダイオードの開発で赤崎氏、中村修二米カリフォルニア大教授とノーベル賞を共同受賞した。

(2016年11月23日 中日新聞朝刊市民版より)
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