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中日新聞掲載の大学記事

2009.07.16

“最短”カーボンナノチューブ 名大グループ、化学合成に成功

 名古屋大大学院理学研究科の伊丹健一郎教授(有機化学)らのグループは、市販の薬品を使って化学合成させることで、“最短”のカーボンナノチューブの輪を作ることに成功した。成果は29日付の独科学専門誌(電子版)で発表される。

 カーボンナノチューブは1991年、飯島澄男・名城大教授が発見。ナノメートル(ナノは10億分の1)レベルの極細の上、ダイヤモンド並みの強度があり、電気などを通すことから次世代の素材として幅広い産業応用が期待されている。

 製造するには、炭素電極から炭素原子を放電するなど、さまざまな方法があるが、太さや長さなどがバラバラなものしか得られないことが課題だった。

 グループが試みたのは、従来とは全く違う方法。市販の2種類の薬品を使って化学合成し、カーボンナノチューブを構成する「ベンゼン環」が12個つながった、直径約1.7ナノメートルの輪を作ることに成功した。

 カーボンナノチューブは炭素原子が6角形状に並んだベンゼン環が無数に連なった筒状の形をしており、この最小単位の輪を筒状につなぎ合わせる技術が開発されれば、均一なカーボンナノチューブを合成できるようになる。伊丹教授は「カーボンナノチューブの研究を発展させる起爆剤になる。今後、応用研究を進めたい」と話している。

(2009年7月16日 中日新聞朝刊28面より)
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