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中日新聞掲載の大学記事

2016.03.03

超小型衛星 夜空に輝け 愛知工科大生ら 18年度打ち上げ目指す

 愛知工科大(蒲郡市)工学部電子制御・ロボット工学科の西尾正則教授の研究グループが、2018年度の超小型衛星打ち上げを目指している。大学は学生数約550人。小規模な地方大学による単独での衛星開発は非常に珍しい。「夜空に人工の星をつくる」ミッションなど、画期的な観測も計画する。(木村尚公)

 今回開発するのは、大きさ10センチ立方の超小型衛星。外装はアルミニウム製で、内部に精密な通信装置や小型カメラを収める。学生自身の手で製作し、16年度中に試作品を完成させる。耐久テストなどを重ねて17年度に本番仕様の衛星を作り上げ、18年度に宇宙へと打ち上げる。

 宇宙では野心的な実験に挑戦する。1つは、発光ダイオード(LED)を衛星に載せ、地上から肉眼で観測できる光を出させる「人工の星」ミッションだ。「10センチ立方の大きさの中で、地上まで届く大量の電力をどう確保するか。発光時の熱も故障の原因になりやすい。これだけ小さな衛星では初の試みになる」と西尾教授は解説する。

 衛星は大気圏に入って燃え尽きるまで、上空400キロを10カ月間回る。その間、200万〜300万キロの遠距離を想定した通信実験や、カメラでの360度撮影など、他にも難しいミッションに挑む。

 超小型衛星は一般的におおむね大きさ50センチ立方、重さ50キロ以下。比較的安く宇宙へ運べることから、近年注目されている。愛知工科大は10年に打ち上げられた超小型衛星「しんえん」を他大学と共同で製作したが、単独では初めて。

 「運賃を払ってロケットで国際宇宙ステーションへ運び、宇宙へ放出してもらう方法を考えている」と西尾教授。日米欧などが年間10回余り行っているロケット発射を利用し、衛星を宇宙へ運ぶ計画だ。

 壮大な挑戦に携わる3年の遠藤雅也さん=蒲郡市=は「幼いころから宇宙が好きだった。プレッシャーはあるが、自分が作ったものを宇宙で動かしたい」と目を輝かせた。

(2016年3月3日 中日新聞朝刊19面より)

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