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中日新聞掲載の大学記事

2016.03.02

平仮名のおもちゃ 五感で学ぶ 名芸大・沢辺さん デザインの賞に

 平仮名の「き」の字をよく見ると、内部でラメが「きらきら」と光る。「り」の字を振ると鈴が鳴って「りんりん」−。そんな擬音語や擬態語を表現した木製おもちゃを、北名古屋市の名古屋芸術大デザイン学部の沢辺美駒(みく)さん(23)が考案した。文字のデザインを競う日本タイポグラフィ年鑑2016で学生部門グランプリを受賞し、4月に表彰される。(井上峻輔)

 おもちゃの名前は「きらきら りんりん ころころ」。平仮名19文字を立体的にデザインし、それぞれに各文字から始まる擬音語や擬態語を表す仕掛けを施してある。

 「こ」の字は内側に組み込まれた玉が転がって「ころころ」、2つの「も」をコードでつないで「もしもし」、台座が揺れる「ゆ」は「ゆらゆら」を表す。平仮名を五感を通して学べることが魅力だ。

 沢辺さんは昨年3月にデザイン学部を卒業し、現在は研究生として大学に通う。おもちゃは、卒業制作として一昨年末から昨年1月にかけて作った。

 きっかけは、知人の生まれたばかりの娘。「何かプレゼントを」という思いから、親子のコミュニケーションに使えるおもちゃの開発を考えた。「赤ちゃんは単語を覚えるのは難しいが、擬音語や擬態語なら覚えやすいと思った」

 子どもが触ることを意識して、木製で温かみのあるデザインにした。アイデアだけでなく、制作も糸のこぎりを使って沢辺さん自身が手掛けた。

 子どもたちの反応は予想以上。1歳になった知人の娘に渡すと、すぐに「きらきら」という言葉を覚えてくれた。自宅の近所の幼稚園に持って行くと、どんな擬音語や擬態語を表しているかをクイズのように考えてくれたという。

 卒業後にいくつかの賞に応募したところ、日本タイポグラフィ年鑑の学生部門グランプリに選ばれた。「受賞は自分にとってすごく大きなこと。いまだに実感がわかない」と沢辺さん。賞を糧に、今後も新たな作品を考えていくつもりだ。

(2016年3月2日 中日新聞朝刊尾張版より)

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