進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て

中日新聞掲載の大学記事

2015.04.22

金沢工大と三井物産 炭素繊維素材で協定 車部品など製法実証へ

 次世代産業として期待される炭素繊維複合材料分野で、金沢工業大の研究開発拠点「革新複合材料研究開発センター(ICC)」(石川県白山市)と三井物産(本社・東京)が21日、自動車部品製造などの新製法に関する実証研究を行うことで合意し、協力協定書などを締結した。ICCでは今後、他の民間企業も巻き込んだ形で量産化に向けた研究開発プロジェクトを始動させ、加工コストを格段に低減する製法や製造ノウハウの確立を目指す。

 自動車や飛行機など輸送機器のエネルギー消費削減に向け、部材の軽量化は大きな課題。ただ現時点では製造コストが高く、一部の用途にとどまる。

 協定では、三井物産がICCに実証用の大型装置を貸与。金型を使い、樹脂を注入して強化繊維を固める成型法で、生産性をさらに高める製造方法などを研究する。その際、装置を使った複数の研究テーマを立ち上げ、自動車分野のみならず、産業、航空機分野などにも応用していく。

 炭素繊維複合材は金属に替わる高強度で軽量な構造部材として用途拡大が期待される分野。日本企業の生産シェアは世界の7割を占めるものの、部品や製品シェアでは1割にとどまり、欧米などに後れを取る。

 ICCでは、2013年度に文部科学省の「革新的イノベーション創出プログラム(COI)」の採択を受け、自動車分野にとどまらず、社会インフラや住宅、海洋分野などへの応用研究が進められており、ICCの斉藤義弘・ビジョン戦略チームリーダーは「今回の取り組みにより、さらに製造技術の幅が広がる」と話している。

 (田嶋豊)

(2015年4月22日 北陸中日新聞朝刊32面より)

戻る < 一覧に戻る > 次へ