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中日新聞掲載の大学記事

2014.03.17

日本V 2年ぶり7度目 W杯レスリング女子

 レスリング女子の国別対抗戦、ワールドカップ(W杯)最終日は16日、東京都板橋区の小豆沢体育館で行われ、日本が決勝でロシアに8−0で圧勝し、2年ぶり7度目の優勝を果たした。3位は中国だった。

 8階級の代表同士が対戦する団体戦。11日に父栄勝さんを亡くした五輪3連覇の吉田沙保里(ALSOK)は53キロ級でマリア・グロワにテクニカルフォール勝ちした。昨年の世界選手権覇者の48キロ級登坂絵莉(至学館大)はフォール勝ちし、69キロ級の土性沙羅(どしょう・さら、至学館大)はロンドン五輪72キロ級金メダルのナタリア・ボロベワを破った。75キロ級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)も勝った。

■土性、恩師にささげた 五輪女王を破る

 残り1分を切って1−3。それまでことごとく封じられていた土性のタックルが、ついに決まった。「無意識で飛び込んでいました」。粘る相手をこん身の力で抱えて倒し、4点を獲得。試合終了と同時に拳を握り締め、喜びを爆発させた。

 相手はロンドン五輪72キロ級金メダルのボロベワ。大会前から「自分がどれだけできるか試したい」と望んでいた対戦だ。しかし、長身の女王は懐が深く、159センチの土性がタックルを試みてもなかなかつかまえられない。先行を許し、逃げ切りを図る相手の術中にはまったかに思われた。

 ただ、劣勢でも戦い方は1つだった。吉田沙保里の父・故栄勝さん主宰の「一志ジュニアレスリング教室」の門下生で、「小さいころからタックルばかりやっていた」。試合終盤、ボロベワの息が上がっているとみるや、体に染み付いた技で女王の堅守にくさびを打ち込んだ。

 昨年の世界選手権は67キロ級で銅メダル獲得も、「もっともっと頑張って日本を引っ張っていきたい」と貪欲な19歳。既にチームの優勝は決まっていたが、軽中量級と比べて苦戦が続く重量級で強豪を破る、意義ある1勝になった。 (井上仁)

(2014年3月17日 中日新聞朝刊25面より)

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