進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て

中日新聞掲載の大学記事

2014.01.24

南山歌舞伎有終の見え 学生ら「立派な舞台で教授送る」

 南山大(名古屋市昭和区)の学生による歌舞伎「南山歌舞伎」が2月2日、最終公演を迎える。毎年の上演が大学の「名物」となってきたが、指導する安田文吉教授(68)が3月に退職するため、10回目となる今回で幕を閉じる。学生らは「最後を飾る舞台にする」と、本番に向けて練習に励む。(坪井千隼)

 舞台に並んだ着物姿の役者らが番傘を広げ、刀の柄を持って身構える。三味線の音が響く中、くいっと首を回して見えを切った。「もっと動作を大きく。お客さんに魅せる演技を」。先月下旬、南山大の教室であった学生歌舞伎の練習。30人の学生らに安田教授が声をかけ続けた。

 南山歌舞伎は人文学部・日本文化学科で近世芸能を研究する安田教授のゼミの一環。2005年に「実際に演じることで演技やせりふの間合い、観客との一体感が分かる」と、学生に呼びかけて公演が始まった。

 今回の演目は、江戸末期の作家、河竹黙阿弥による「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」だ。「白浪五人男」として知られる5人の盗賊が追っ手に追い詰められる一幕「稲瀬川勢揃(ぞろ)いの場」を演じる。長唄や三味線、太鼓なども場を盛り上げる。

 学生の多くは女子で、主人公の5人の男役も全員、女子が務める。4年の柴田亜寿美さん(22)は「生で見る歌舞伎の迫力はすごい。あまり歌舞伎を知らない同年代の友人にも魅力を伝えられる演技をしたい」。舞台のとりまとめ役を務める4年の西浜理絵さん(22)は「自分たちの代で終わってしまうのは寂しいけれど、立派な舞台で先生を送り出す」と意気込む。

 安田教授も「歌舞伎は江戸文化の神髄。実際に演じて学ぶことは多い。ゼミの集大成といえる歌舞伎にしたい」と話す。

 上演は南山大名古屋キャンパスG30教室で、午前11時、午後0時半、同2時の3回。上演時間はいずれも約30分で、配役を替えて同じ演目を披露する。入場無料。

 最後の「さよなら公演」では安田教授や演技の師匠らも舞台に立つ。

(2014年1月24日 中日新聞夕刊13面より)
  • X

戻る < 一覧に戻る > 次へ