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中日新聞掲載の大学記事

2008.10.07

仏・中世の塔内部に夢実現 自分の壁画

 【パリ=清水俊郎】名古屋芸術大(北名古屋市)の名誉教授でフレスコ画家の高橋久雄さん(72)が、フランス中東部のブルゴーニュ地方の古都オータン市にある中世の塔の内部に壁画を描く。フランス政府の歴史記念建造物に指定されている塔で、新たな絵が認められるのは異例。名古屋芸術大の学生らも描画を手伝う。

フレスコ画学生らも手助けへ
歴史建造物『異例』の許可

 12世紀に建てられた高さ約30メートル、直径約10メートルの塔。ブルゴーニュ公国からルイ13世(1423−1483年)の手に渡った。さらに女子修道会の所有となり、その会の名にちなみユルスリーヌ塔と呼ばれる。

 高橋さんは40年前に渡仏し、オータン市の大聖堂など各地の壁画を次々と修復した。修復家としては日本人で唯一、仏文化省から公認されている第一人者だが、歴史ある建物に自分の壁画を描くのが長年の夢だった。

 11年前にユルスリーヌ塔と付属の小聖堂を購入したものの、フランスの歴史記念建造物は持ち主でも自由な改造や修復は許されない。仏政府と交渉を重ね、今年に入って許可を得た。12月に描画に取りかかる予定だ。

 白馬を駆る初代ブルゴーニュ公の姿を中心にした下絵が既にできている。日仏両国でフレスコ画を学ぶ学生たちと「描く喜びを分かち合いたい」と、一部はあえて単純な構図にした。「現代に生きる人間の思想を中世の塔に描きたい」と張り切る。

(2008年10月7日 中日新聞朝刊県内版より)
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