HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て
2013.05.15
芸術と学問 協和音 愛知県芸大・演奏家、名大生に授業
■「アイデア生み出す」♪好評
愛知県立芸術大の演奏家が、名古屋大の学生にクラシック音楽の魅力を伝える講義「レクチャーコンサート」が名古屋市千種区の名大東山キャンパスで始まった。県芸大が別の大学に出張して教えるのは珍しく、講義では演奏も披露する。「学問に芸術的要素が欠かせない」との指摘もあり、名大生には好評だ。(中村禎一郎)
9日の講義のテーマは「木管五重奏で聴くソナタ形式」。県芸大博士課程に籍を置くフルート奏者丹下聡子さん(41)が、時代とともに使う楽器の種類が変わるソナタ形式の歴史を説明した。仲間の音楽家4人とともに、音の出し方や曲の入り方など演奏前の“舞台裏”を見せる。そして実際の演奏、質疑と続く。
「ビブラートって何ですか?」「息を震わせる技術です。実際やってみるわね」
「演奏者はすべての楽器の楽譜を持っているのですか?」「値段が高いので、なかなかほかの楽器の楽譜まで用意できません」
法学部2年の姫谷祥平さん(19)は「生の音楽に触れられて楽しい」。同じ法学部2年の長谷川昇太朗さん(20)も「座学だけじゃないのがいい。無料コンサートみたい」と満足そうだ。
学生に幅広い教養をつけさせたい名大側と、クラシックのファンを増やしたい県芸大側の思惑が一致した。先月始まった前期の全15回の講義には定員を超える40人以上の応募があった。毎回、学生から熱心な質問があるのも特徴。担当の名大国際言語文化研究科の藤井たぎる教授は「ほかの授業ではなかなかない現象。うちの教員の授業以上に手応えがある」と苦笑い。
丹下さんは県芸大の現役学生だが、演奏家としても活躍中。名大に非常勤講師として採用された。「もっとクラシックを聴いてほしい。いつか私のコンサートにも来てくれたら」と話す。
名大の足立守特任教授は「学問でアイデアを生み出すには芸術が関係している」と指摘。実際に「分子の形が美しいから」と芸術性を基に研究テーマを決めたノーベル賞受賞者もいるという。
(2013年5月15日 中日新聞夕刊11面より)
愛知県立芸術大の演奏家が、名古屋大の学生にクラシック音楽の魅力を伝える講義「レクチャーコンサート」が名古屋市千種区の名大東山キャンパスで始まった。県芸大が別の大学に出張して教えるのは珍しく、講義では演奏も披露する。「学問に芸術的要素が欠かせない」との指摘もあり、名大生には好評だ。(中村禎一郎)
9日の講義のテーマは「木管五重奏で聴くソナタ形式」。県芸大博士課程に籍を置くフルート奏者丹下聡子さん(41)が、時代とともに使う楽器の種類が変わるソナタ形式の歴史を説明した。仲間の音楽家4人とともに、音の出し方や曲の入り方など演奏前の“舞台裏”を見せる。そして実際の演奏、質疑と続く。
「ビブラートって何ですか?」「息を震わせる技術です。実際やってみるわね」
「演奏者はすべての楽器の楽譜を持っているのですか?」「値段が高いので、なかなかほかの楽器の楽譜まで用意できません」
法学部2年の姫谷祥平さん(19)は「生の音楽に触れられて楽しい」。同じ法学部2年の長谷川昇太朗さん(20)も「座学だけじゃないのがいい。無料コンサートみたい」と満足そうだ。
学生に幅広い教養をつけさせたい名大側と、クラシックのファンを増やしたい県芸大側の思惑が一致した。先月始まった前期の全15回の講義には定員を超える40人以上の応募があった。毎回、学生から熱心な質問があるのも特徴。担当の名大国際言語文化研究科の藤井たぎる教授は「ほかの授業ではなかなかない現象。うちの教員の授業以上に手応えがある」と苦笑い。
丹下さんは県芸大の現役学生だが、演奏家としても活躍中。名大に非常勤講師として採用された。「もっとクラシックを聴いてほしい。いつか私のコンサートにも来てくれたら」と話す。
名大の足立守特任教授は「学問でアイデアを生み出すには芸術が関係している」と指摘。実際に「分子の形が美しいから」と芸術性を基に研究テーマを決めたノーベル賞受賞者もいるという。
(2013年5月15日 中日新聞夕刊11面より)