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中日新聞掲載の大学記事

2013.01.24

名大院、創薬へ研究コース 医学と薬学 知識を結集 新年度、名城大院とタッグ

 名古屋大大学院医学系研究科は新年度、名城大大学院薬学研究科などと連携し、創薬に取り組む研究コースを新設する。患者の病態をよく知る医学系研究科に薬の専門家が集まって研究を進め、新しい薬の開発や、豊富な知識を持った医師、薬剤師の育成につなげるのが狙いだ。

 名古屋大には薬学部がなく、創薬の仕組みを理解し基礎研究と治療をつなぐ環境や人材の充実が課題だった。医学部門にコースを設置することで、基礎研究から治療まで完結する研究を目指す。

 医学博士課程に「統合医薬学領域」の名称で置く。名古屋大と名城大は昨年11月、学術交流協定を締結。新設コースでは、薬学部を持つ名城大が講義や実習などに協力する。

 また、学内の理工学系や農学系の研究者らでつくる創薬科学研究科や環境医学研究所とも連携し、病気に薬が効くメカニズムの解明や薬剤の患者への影響を調べる。

 これまで創薬の中心となってきた製薬会社とも協力関係を結び、医学と薬学の経験や知識、考え方を、新薬の開発につなげる研究のモデルを目指す。

 名古屋大によると、国際市場での新薬開発の国別割合は、1980年代は日本の新薬が3割ほどあったが、90年代以降は1割に満たない。一方、創薬に関わる基礎研究で、主要雑誌に掲載される論文数はトップの米国に次いで日本はドイツや英国などと並んでいる。

 しかし、薬をつくるまでの過程を理解する研究者が少ないうえ、製薬会社などから財政面での協力が得られないのが実情だ。基礎研究が進んでも、患者の薬による治療に結び付いていない。

 名古屋大大学院の高橋雅英医学系研究科長は「新しい薬づくりを志す医師を育成し、大学の中で基礎から臨床まで一連の研究がつなげられるようにしたい」と話す。

 名城大大学院の小嶋仲夫薬学研究科長も「医師と看護師、薬剤師がチーム医療に取り組んでいくため、連携により臨床経験を積んだ優れた薬剤師を育成したい」と語る。

 東海地方では既に、医学部や工学部のある岐阜大と岐阜薬科大、薬学部のある名古屋市立大と名工大が共同で大学院の創薬研究を進めている。

(2013年1月24日 中日新聞朝刊30面より)

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