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中日新聞掲載の大学記事

2013.01.23

瓦 液状化抑制に効果 砕いた粒子埋め地盤改良

■三河窯業試験場が実験 がれき瓦の有効利用にも

 大規模地震時の液状化対策で、あいち産業科学技術総合センター三河窯業試験場(碧南市)は22日、瓦を砕いた粒子を埋めて地盤改良すれば、地震による建物の傾斜や、道路陥没の被害を抑える効果があるとの実験結果を明らかにした。東日本大震災で発生したがれきの瓦の有効利用にもつながるため、担当者は「1年以内の実用化を目指したい」と話している。(後藤孝好)

 愛知は全国一の瓦産地で、地域ブランドの三州瓦の全国シェアは65%に上り、年間の出荷量は3億1900万枚。従来は産業廃棄物として処理していた規格外品を活用する一環で、4年前から研究してきた。

 三河窯業試験場は、県陶器瓦工業組合(高浜市)、名古屋工業大高度防災工学センター(名古屋市昭和区)と共同で、液状化を軽減する効果があるかどうかを実験。模型を使って震度7程度の揺れを起こしたところ、砂地盤では水が噴き出し、マンホールの模型が浮き上がったが、瓦を砕いた粒子を埋めた場合は変動が少なかった。

 砂地盤は粒子が丸いため、震動で粒子と粒子の隙間が詰まって水が浮き上がり、液状化しやすい。その一方、瓦の破砕物は粒子が角張っているため、地震で揺れても粒子の動きが少なく、地盤沈下が起きにくいという。

 県陶器瓦工業組合の神谷環光(たまみつ)副理事長は「瓦のがれきを活用できれば、震災復興になる。低コストで簡便に液状化対策が実現できる」と語った。

 実用化に向け共同研究者らは29日、名古屋市中村区のウインクあいちで成果発表会を開催。土木関係企業や設計事務所と研究会を発足させて、実際に施工する際の課題や工法を話し合う。

(2013年1月23日 中日新聞朝刊県内版より)

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