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中日新聞掲載の大学記事

2012.10.04

名大グループ解明 遺伝情報変え進化促す? DNA一部動かす仕組み

 DNAに記録されている遺伝情報が変化する仕組みの一端を、名古屋大大学院生命農学研究科の佐藤豊准教授(43)や元大学院生の野坂実鈴さん(30)らのグループがイネを使った実験で解明した。米科学誌「プロス・ジェネティクス」の電子版に発表した。

 佐藤准教授は「例えば親は暑さに弱いけど、子は強いというように、親子の間でも遺伝情報が変化すれば、特徴が変わってしまう。仕組みがさらに解明できれば、環境が変化した時などに生物が一度に全滅してしまうことを防ぐことができるのではないか」と話した。

 グループは、DNAの一部なのに元の位置から飛び出し別の位置に移動してしまう「トランスポゾン」に着目。トランスポゾンを動かす働きのある「マイクロリボ核酸」と、動きを止める遺伝子があることを突き止めた。通常、トランスポゾンは動かないが、マイクロリボ核酸と遺伝子のバランスが崩れると、DNAから飛び出して別の位置に割り込む。

 トランスポゾンが割り込んだ位置によっては、もともとDNAに刻まれていた遺伝情報が壊れて細胞ががん化するなど、生物の生存を脅かす恐れがあるが、変化をもたらすことで進化を促す可能性もある。

(2012年10月4日 中日新聞朝刊3面より)
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