進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て

中日新聞掲載の大学記事

2008.08.13

高さ、地盤に合わせ揺れ再現 地震体験システム開発

名大院グループ
家具倒壊の様子スクリーン映写も

 名古屋大大学院環境学研究科の福和伸夫教授(地震工学)らのグループは、建物の高さと地盤に合わせて揺れを再現する地震体験システムを開発した。「高層ビルの30階」など特定の場所の揺れを体感できる。スクリーンに室内の様子を映し出し、視覚効果にも訴える。 (広瀬和実)

 開発したシステムは「BiCURI(ビックリ)」。人間が乗る大型振動台とスクリーンなどからなる。大型振動台では、レールの上にかご型の台を載せ、モーターを動力源に縦方向に最大3メートル、横方向に最大1メートル移動させる。

 阪神大震災、新潟県中越地震など実際に起きた地震や、東海・東南海地震などの想定地震を基に、地盤の強さや建物の構造などを計算し、地表面や階ごとの揺れを再現できる。

 スクリーンは縦2メートル、横4メートル。大型振動台と同じ震度で揺らしたミニチュアの屋内模型を小型カメラで撮影し、スクリーンに映し出すこともできる。家具が倒れる様子などを実写さながらに再現する。

 11日に名大で行われたデモでは、東海・東南海地震が連動した場合、名古屋駅前の超高層ビルでは階層が高くなるほど振動台が大きく移動、揺れが大きいことを示した。福和教授は「震度が同じでも地盤が弱く、階層が上がるほど揺れることが分かるはず。今回開発した装置を普及させ、実際の揺れ方を体感することで耐震化を進めてほしい」と話している。

(写真)名古屋大が開発した「BiCURI」。かご型の台の上に人を載せて揺れを体験できる=名古屋市千種区の名古屋大で

(2008年8月13日 中日新聞朝刊愛知総合版より)
  • X

戻る < 一覧に戻る > 次へ