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中日新聞掲載の大学記事

2011.09.30

就活で中小企業志向 学生ら「やりがい」重視 行政や大学なども支援

 景気の低迷や東日本大震災で厳しい就職戦線が続く中、就職活動(就活)をする学生の目が中小企業に向き始めた。仕事にやりがいを求め、積極的に中小企業に就活する学生が増加。採用意欲はあっても人材確保ができない「雇用のミスマッチ」を改善する行政の動きも出てきており、大学側も支援に力を入れる。(稲熊美樹)

 愛知大4年の関大輔さん(24)は、医療機器販売会社への就職を決めた。社員はわずか20人。だが「規模が小さいから、若いうちから仕事を任せてもらえ、力をつけられる」と、あえて中小企業を選んだ。

 就職活動に入る前の10カ月間、喫茶店のオーナーに任せてもらい、店を拠点に地域の人の交流イベントを企画・運営するインターンシップ(就業体験)に没頭。集客などに成果を挙げ、やりがいを感じたことが、中小企業に目を向けるきっかけになった。

 インターネットマーケティング会社への就職を決めた名古屋大4年の白石美咲さん(22)は、企業の規模ではなく、「働いている人がすごい」「商品が社会の役に立っている」ことを基準に選んだ。従業員は10人に満たないが、「社員1人1人が事業のことを考え抜いている」と感じたという。

 白石さんが就職先を知ったきっかけは「逆指名型求人フェア」。学生のプロフィルなどを基に、会場の学生ブースを訪れた企業の担当者に、学生がPRする機会だ。

 就職情報サイトを利用した就職活動が一般的になり、学生の大手志向は依然強い。また、サイトを利用しない中小企業が多い。

 フェアは、採用意欲はあるのに、人材確保ができない中小企業が存在する「雇用のミスマッチ」を改善しようと、岐阜県産業経済振興センターなどが企画した。

 リクルートも、従業員300人以下の中小企業に特化した情報紹介に乗り出した。経済産業省の補助を受け「ドリーム・マッチプロジェクト」と題した就職情報サイトを立ち上げ、全国でイベントも開く。

 大学も中小企業を知る機会づくりに乗り出す。立教大は9月、4年生を対象に中小企業を集めた説明会を実施。参加企業の担当者は「大手と同じ採用方法では、当社の良さを分かってもらえない。知名度が低いが、ここなら学生への距離が近く、アピールしやすい」と話す。就職がなかなか決まらない4年の女子学生(22)は「説明会で新たな方向性を探している」と打ち明けた。

 明治、中央、法政、日本女子の各大学も9月、合同で中小企業を集めた企業説明会を開き、120社と学生800人以上が参加した。

 金城学院大は、担当者が中小企業の求人情報をハローワークや新聞で探すほか、企業を訪問している。求人があれば学生にメールで通知。自宅へも電話するなどしている。

(2011年9月30日 中日新聞朝刊23面より)
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