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中日新聞掲載の大学記事

2011.04.13

塩害時イネ成長促進 名大准教授らタンパク質発見

■津波被害の水田 希望の種

 塩害や高温、低温などイネにとって悪環境になると細胞分裂を促すタンパク質を、名古屋大生物機能開発利用研究センターの武田真准教授らのグループが世界で初めて発見した。英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」電子版に12日、発表した。

 研究グループは、タンパク質を作る遺伝子を壊したイネを2500種類つくり塩分の多い培養地で栽培。通常のイネと成長を比較した結果、「RSS1」というタンパク質が作れなくなったイネは通常のイネより育ちが悪かった。両者を好条件の培養地で栽培すると成長に違いはなかった。

 RSS1タンパク質を解析すると、細胞分裂の際に不可欠なDNA複製開始の「合図」を送る機能があると判明。同タンパク質は根の先や茎と根の境など細胞分裂が活発な場所にあり、悪条件下でイネの成長を促進する役割を果たしていると結論づけた。

 武田准教授は「地球温暖化による環境悪化や世界的な食料不足が懸念される中、研究を応用すれば農作物の収穫量を増やせるかもしれない」と話している。

(2011年4月13日 中日新聞朝刊29面より)

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