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2011.02.18
警官の仕事 学生が体験 県警 人材確保へ初実施
■火災現場視察 「市民守る充実感知って」
減り続ける受験者数に歯止めをかけようと、県警が大学生のインターンシップ(就業体験)を試験的に初めて導入した。近年は募集人員を確保できない採用状況が続いていて、2008年には大きな警察署1つ分に当たる400人もの定員割れが生じた。採用担当者は「大変だがやりがいのある警察の仕事を知ってもらいたい」と話す。(浅井俊典)
名古屋市東区で起きた空き家火災の翌日。インターンシップの愛知大の3年生男女4人が、普段は一般人が入れない規制線内に立ち、焼け跡で火元を特定する警察と消防の実況見分作業を見守った。付き添った東署の吉田太郎副署長から「火災現場で、警察には個人の命や財産が奪われた原因は何か、処罰する人はいるのかを突き止める責任があるんだ」と聞かされ、皆、表情を引き締めた。
4人は1月31日〜2月4日の5日間、東署で指紋や足跡の採取の仕方を体験したり、交通標識を直したりした。石黒伸幸さん(20)=法学部=は「ドラマと違って交通安全など地道な活動が市民の生活を守っていると実感できた」と話す。
警察のインターンシップ導入は全国でも少なく、愛知は千葉県警に続き2番目。一般には公開できない捜査情報や被害者などの個人情報保護があり、多くの警察が導入に消極的だった。今回、東署で実際の現場を学生に見せたのは、情報管理には配慮しつつ「本当の警察官の仕事を見てもらいたかったから」(吉田副署長)という。
県警の採用試験は「他の公務員より仕事がきつい」などの理由で敬遠され、03年をピークに受験者数が3割近く減っている。志願者の減少で採用基準に達する学生らが少なくなり、5年間も定員割れが続いている。
さらに、採用されて警察学校に入校しても、イメージしていた仕事と違うなどの理由で入校者の2割ほどが辞めてしまう。
県警は昨年、署での就職説明会や警察学校の見学会もし、10年の受験者数は前年より1000人以上増えた。インターンは今夏も5つの署で実施予定で、愛知大以外の地元大学生にも参加を呼び掛ける。
警務課採用担当の金子幸弘課長補佐は「警察の仕事は確かに厳しい。ただ、人の命を守ることの充実感は何ものにも替え難い。学生にそれを感じてもらい、友人に口コミで広めてほしい」とインターン導入の成果に期待している。
(2011年2月18日 中日新聞朝刊県内総合版より)
減り続ける受験者数に歯止めをかけようと、県警が大学生のインターンシップ(就業体験)を試験的に初めて導入した。近年は募集人員を確保できない採用状況が続いていて、2008年には大きな警察署1つ分に当たる400人もの定員割れが生じた。採用担当者は「大変だがやりがいのある警察の仕事を知ってもらいたい」と話す。(浅井俊典)
名古屋市東区で起きた空き家火災の翌日。インターンシップの愛知大の3年生男女4人が、普段は一般人が入れない規制線内に立ち、焼け跡で火元を特定する警察と消防の実況見分作業を見守った。付き添った東署の吉田太郎副署長から「火災現場で、警察には個人の命や財産が奪われた原因は何か、処罰する人はいるのかを突き止める責任があるんだ」と聞かされ、皆、表情を引き締めた。
4人は1月31日〜2月4日の5日間、東署で指紋や足跡の採取の仕方を体験したり、交通標識を直したりした。石黒伸幸さん(20)=法学部=は「ドラマと違って交通安全など地道な活動が市民の生活を守っていると実感できた」と話す。
警察のインターンシップ導入は全国でも少なく、愛知は千葉県警に続き2番目。一般には公開できない捜査情報や被害者などの個人情報保護があり、多くの警察が導入に消極的だった。今回、東署で実際の現場を学生に見せたのは、情報管理には配慮しつつ「本当の警察官の仕事を見てもらいたかったから」(吉田副署長)という。
県警の採用試験は「他の公務員より仕事がきつい」などの理由で敬遠され、03年をピークに受験者数が3割近く減っている。志願者の減少で採用基準に達する学生らが少なくなり、5年間も定員割れが続いている。
さらに、採用されて警察学校に入校しても、イメージしていた仕事と違うなどの理由で入校者の2割ほどが辞めてしまう。
県警は昨年、署での就職説明会や警察学校の見学会もし、10年の受験者数は前年より1000人以上増えた。インターンは今夏も5つの署で実施予定で、愛知大以外の地元大学生にも参加を呼び掛ける。
警務課採用担当の金子幸弘課長補佐は「警察の仕事は確かに厳しい。ただ、人の命を守ることの充実感は何ものにも替え難い。学生にそれを感じてもらい、友人に口コミで広めてほしい」とインターン導入の成果に期待している。
(2011年2月18日 中日新聞朝刊県内総合版より)