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学生活動 2025.05.26
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社会とつなぐポーチ フェアトレード普及へ 名外大生開発

開発したポーチを紹介する(左から)池田さん、森さん、伊神さん=日進市の名古屋外国語大で
発展途上国からの原料や製品を適正価格で取引する「フェアトレード」を広めようと、日進市の名古屋外国語大の学生たちが、インド産のコットンを使ったポーチを開発した。知的障害のある名古屋市のアーティストがデザインし、色鮮やかでかわいらしい仕上がり。クラウドファンディング(CF)サイトで6月8日まで販売し、売り上げを製造するインドの企業などに支払う。(青山直樹)
学生は世界共生学部の宮川公平教授のゼミ生3人で、それぞれ「障害者の自立」など社会課題の解決を考える研究を進めている。開発は、フェアトレードの認証を受けたコットンの製品化を手がける「スバストラジャパン」(東京都)のプロジェクトの一環で、全国6大学が参加。認証コットンを使い同社のインド法人に生産してもらうことなどが条件で、各大学がそれぞれ商品開発を進めている。
インドは世界有数の綿花生産国だが、不適正な安価で取引される現状があるとされる。4年の伊神春香さん(22)は「フェアトレードの普及や、障害者の方々の雇用の解決につながることがしたかった」とプロジェクトに参加した理由を話す。4年の森愛海(まなみ)さん(23)も「フェアトレードという言葉は知っていても、詳しく知らない人は多いと思う。知ってもらうきっかけになれば」と願う。
学生たちは、商品の梱包(こんぽう)を依頼した名古屋市中区の社会福祉法人「さふらん会」を訪問。利用者や職員に必要な商品を聞き取った。障害者手帳や定期券などを入れる雑貨の需要があると分かり、ポーチを開発することに決めた。インドや障害者らの社会をつなぐという思いを込めて、「つなげるポーチ」と名付けた。
デザインは、名古屋市在住で知的障害のあるアーティスト、佐々木紫乃さんが手がけた。インドゾウのほか、ヒンズー教の神で知恵や繁栄の象徴とされる「ガネーシャ」を描いた2種類がある。森さんは「自分でも使いたくなる本当にかわいいデザイン」とにっこり。カラビナ付きで、バックにも取り付けられる。
今年から開発に加わった3年の池田珠洲(すず)さん(21)は「高校生の時からボランティア活動をしていて、開発に興味を持った。ポーチは手売りでの販売も計画しているので、多くの人にフェアトレードを広めていきたい」と意気込む。
ポーチはCFサイト「Makuake(マクアケ)」で、先着60個を販売している。1個3500円で、うちインドの企業に1760円を支払い、ほかは障害者の賃金や郵送費などにあてる。
(2025年5月26日 中日新聞朝刊市民版より)