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学生活動  2024.10.05

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虐待当事者や学生の声も 「桑名市こども計画」素案まとめ 子ども・子育て会議

学生らも意見を述べた桑名市子ども・子育て会議=桑名市中央町のパブリックセンターで

学生らも意見を述べた桑名市子ども・子育て会議=桑名市中央町のパブリックセンターで

 児童虐待を受けた経験のある当事者や大学生ら、多様な背景の人の意見を聞きながら「桑名市こども計画」をまとめる取り組みを、市が進めている。3日に開かれた市子ども・子育て会議には、虐待によって児童養護施設で過ごした後に社会人として働く「ケアリーバー」の女性も参加し、支援の必要な子どもへのアプローチ方法などを考えた。(大島康介)

 来年3月までに策定する市こども計画は、2025~29年度に市が取り組む子ども、若者、子育て世代向けの施策を網羅した重要な計画。現在は素案をまとめており、この日の子ども・子育て会議では、72項目にわたる施策や目標を示した素案に対して委員や市職員ら50人が意見を出し合った。

 「こどもの人権を守る分科会」に加わったのは、ケアリーバーの介護職の女性(32)だ。女性によると、母親と弟と暮らしていた子どもの頃は育児放棄(ネグレクト)の状態で、小中学校には1日も通わせてもらえなかった。弟の世話を強要される「ヤングケアラー」でもあり、15歳の頃に保護され、児童養護施設で18歳まで過ごしたという。

 分科会で児童虐待が話題となり、女性は「子どもが自分で行政に連絡するのはとてもハードルが高い。当時の私にとっては家庭しか世界がなく、ひどい親でも信じたい気持ちがあった」と語った。ヤングケアラーの問題には「家のお手伝いをしているだけと思われて、弟の世話を全て背負わせられていることに気付いてもらえなかった」と当時の様子を伝えていた。

 「自分の経験が誰かの役に立てばいいなと思って」。子ども・子育て会議の委員を引き受けた理由を、女性はこう語る。「最初はすごく緊張したけど、意見を出しやすい雰囲気を周りがつくってくれた。これからも経験を伝えていきたい」と話していた。

 市が協定を結んでいる愛知大(名古屋市)の学生11人も子ども・子育て会議に参加した。子育て家庭の居場所になる「子ども食堂」を広く知ってもらうための施策として、学生の一人は「紹介動画を作って、YouTube(ユーチューブ)でPRすれば親しみやすくなると思う」などと意見を出していた。

(2024年10月5日 中日新聞朝刊北勢版より)

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