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学生活動  2023.07.19

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ポン菓子機 海を渡る 南山大生 エチオピアへ寄贈

ポン菓子を作る「穀物膨張機」=愛知県南知多町の家田製菓で

ポン菓子を作る「穀物膨張機」=愛知県南知多町の家田製菓で

■家田製菓と協力 現地障害者の収入源に

 南山大(名古屋市)の有志学生17人と愛知県南知多町のポン菓子メーカー家田製菓が協力して、東アフリカのエチオピアにある障害者職業訓練センターに、ポン菓子を作る「穀物膨張機」を贈った。現地では珍しい食感に人気が集まり、障害者たちの収入につながっている。機械購入の資金集めに奔走した学生たちは、「手助けになってうれしい」と3年越しの成果に手応えを感じている。 (垣見窓佳)

 きっかけは、学生が地域の課題解決を目指す「南山チャレンジプロジェクト」。同大の卒業生で家田製菓社長の家田馨子さんが2020年春に参加し、「学生たちとアフリカの国の支援をしたい」と提案。相談した人文学部人類文化学科の石原美奈子教授が長年、エチオピアを研究していたことから、学生が渡航してポン菓子の製造を指導する計画が立ち上がった。

 ところが、新型コロナウイルスの感染拡大で、渡航直前に計画が中断した。学生たちは「まずは国内でできることを」と考え、エチオピアのコーヒー味などオリジナルのポン菓子を考案。学祭や県内の小売店などで販売し、20年と21年の2年間で、穀物膨張機1台分の約32万円を集めた。

 それでもエチオピアの内戦もあって渡航の機会は訪れないまま。「せっかく学生たちが資金を集めたのに」。エチオピア研究者が集まるオンライン学会の休憩時間、石原教授が吐露した悩みに、同国南東部のアルシ大で人類学を教える大場千景さん(大阪公立大客員研究員)が飛びついた。大場さんは、日本の援助で学内に建てられた障害者職業訓練センターの核になる事業を探しており、プロジェクトが一気に動き始めた。

 22年8月、渡航可能になったタイミングで学生たちは分解した機械をスーツケースに入れ、空路で運んだ。今年2月のセンター開所式には家田さんも現地を訪れ、利用者に指導した。

 大場さんによると、ポン菓子の製造にはセンターの利用者約50人が関わる。燃料の薪や炭、主な原料の大麦はいずれも現地で調達できる。大麦を穀物膨張機で加熱して膨らませ、少量の砂糖や香辛料で味を付ける。袋に詰め、1袋10ブル(20円相当)で近隣の都市で販売している。現地ではもともと大麦をいった菓子が親しまれていたため、ポン菓子は「シャキシャキと軽い食感でおいしい」とすぐに人気に。現在、利用者1人当たり月1700ブル(平均的な公務員の初任給は4000~6000ブル)の給料が支払えているという。

 資金集めや機械の輸送に関わった南山大4年加藤杏さん(22)は「自分たちの取り組みが海を越えて、しっかりと根付いているのがうれしい。機械が使われている様子を見に行きたい」と喜ぶ。大場さんは「利用者は生きがいをもらったように生き生きと仕事している。もっと多くの障害者を受け入れられるようにしたい」と希望を語った。

(2023年7月19日 北陸中日新聞夕刊1面より)

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