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お知らせ 2021.12.14
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里山整備へ放置竹林活用 竹粉使い あま~いお米 四日市大研究会が土壌改良
里山の再整備に向けて放置竹林の活用法を探る四日市大(三重県四日市市萱生町)の研究チームは、竹を粉状にした土壌改良材で育てた米が、全国から有機栽培作物が集まる「栄養価コンテスト」の玄米部門で糖度がトップの成績を収めたと報告した。生態系のバランスを崩すおそれのある放置竹林が、おいしく安心な米作りに活用でき、循環型社会やSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献するとして、成果を広げたい考えだ。(片山さゆみ)
研究チームは「四日市大学エネルギー環境教育研究会(会長・新田義孝四日市大名誉教授)」で、同大教授や研究者のメンバーら8人で構成。同市堂ケ山町の水田で、竹粉を土にまき、コシヒカリを育てている。
一般社団法人日本有機農業普及協会(長野県伊那市)が主催する「栄養価コンテスト」は、安全で栄養豊富な農産物の栽培方法の普及を目指して2015年から始まった。今年2月開催のコンテストには、全国から200人が参加し、トマトやイチゴなど83品目が集まった。玄米部門には30点の応募があり、糖度や水分量など4つの項目で審査された。糖度では、研究会の玄米が最も高いと評価された。研究会の矢口芳枝事務局長は「つやがあり、もちもちとして甘みがある」と胸を張る。
竹粉には、土壌の肥料もちが良くなり、有機物量が増えて栄養価が高まる効果が期待され、米の糖度アップにつながった可能性があるという。
竹が増えすぎると陽光を遮り、地下茎も伸びて、周囲の植物の成長を阻害する。伐採後は廃棄物となり処理に負担がかかる。研究会によると、市内では、過去30年間で竹林を含む森林面積が45.1平方キロから40.7平方キロに減少したのに対し、竹林のみの面積は3.2平方キロから7.7平方キロに増えている。
そこで研究会は、竹の活用法を研究する「伊勢竹鶏(たけとり)物語~3Rプロジェクト~」を09年に始めた。第1弾として竹粉を鶏の飼料に混ぜて、卵の成分の変化などを調査。張りがあり生臭みのない卵ができるなどの成果を得た。活用法を広げようと、14年から第2弾として農業への活用を研究し始めた。
堂ケ山町では17年から研究を開始。学生も散布などで協力した。土地を提供した「マルジュウ古市製茶」(同町)の古市善丈さん(39)は「有機肥料を使うと、マイクロプラスチック対策にもなる」と説明。一般の肥料には、土に徐々に栄養が染み込むように表面に樹脂でコーティングされているものがあり、雨などで海へ流出して問題になっている。竹粉は全て自然由来のため、環境への負荷も低い。
研究会の戸田和男実務委員長(78)は「米をブランド化して事業を継続できるようにすれば、里山の保全や循環型社会の実現につながる」と期待を寄せる。今後はプロジェクトの第3弾として、地域と連携した里山整備を計画している。
(2021年12月14日 中日新聞夕刊1面より)
研究チームは「四日市大学エネルギー環境教育研究会(会長・新田義孝四日市大名誉教授)」で、同大教授や研究者のメンバーら8人で構成。同市堂ケ山町の水田で、竹粉を土にまき、コシヒカリを育てている。
一般社団法人日本有機農業普及協会(長野県伊那市)が主催する「栄養価コンテスト」は、安全で栄養豊富な農産物の栽培方法の普及を目指して2015年から始まった。今年2月開催のコンテストには、全国から200人が参加し、トマトやイチゴなど83品目が集まった。玄米部門には30点の応募があり、糖度や水分量など4つの項目で審査された。糖度では、研究会の玄米が最も高いと評価された。研究会の矢口芳枝事務局長は「つやがあり、もちもちとして甘みがある」と胸を張る。
竹粉には、土壌の肥料もちが良くなり、有機物量が増えて栄養価が高まる効果が期待され、米の糖度アップにつながった可能性があるという。
竹が増えすぎると陽光を遮り、地下茎も伸びて、周囲の植物の成長を阻害する。伐採後は廃棄物となり処理に負担がかかる。研究会によると、市内では、過去30年間で竹林を含む森林面積が45.1平方キロから40.7平方キロに減少したのに対し、竹林のみの面積は3.2平方キロから7.7平方キロに増えている。
そこで研究会は、竹の活用法を研究する「伊勢竹鶏(たけとり)物語~3Rプロジェクト~」を09年に始めた。第1弾として竹粉を鶏の飼料に混ぜて、卵の成分の変化などを調査。張りがあり生臭みのない卵ができるなどの成果を得た。活用法を広げようと、14年から第2弾として農業への活用を研究し始めた。
堂ケ山町では17年から研究を開始。学生も散布などで協力した。土地を提供した「マルジュウ古市製茶」(同町)の古市善丈さん(39)は「有機肥料を使うと、マイクロプラスチック対策にもなる」と説明。一般の肥料には、土に徐々に栄養が染み込むように表面に樹脂でコーティングされているものがあり、雨などで海へ流出して問題になっている。竹粉は全て自然由来のため、環境への負荷も低い。
研究会の戸田和男実務委員長(78)は「米をブランド化して事業を継続できるようにすれば、里山の保全や循環型社会の実現につながる」と期待を寄せる。今後はプロジェクトの第3弾として、地域と連携した里山整備を計画している。
(2021年12月14日 中日新聞夕刊1面より)