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お知らせ  2021.08.20

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二枚貝 似すぎて、ずっと誤認 国内未確認種と判明 名古屋などで発見

ヤハズヌマガイの貝殻の大きさを測る川瀬基弘准教授(右)と横井敦史さん=名古屋市瑞穂区の愛知みずほ大で

ヤハズヌマガイの貝殻の大きさを測る川瀬基弘准教授(右)と横井敦史さん=名古屋市瑞穂区の愛知みずほ大で

 国内では生息が確認されていなかった淡水性の二枚貝が、愛知県豊根村の矢筈(やはず)池などで見つかった。愛知みずほ大(名古屋市瑞穂区)などの研究チームが発表し、新たな和名として池にちなみ「ヤハズヌマガイ」と命名した。(出口有紀)

 貝の学名は「バルドウスキア・シャディニ」でロシアや中国東北部などに生息する。殻の幅は8~16センチほど。他の二枚貝に比べ、殻の上下の輪郭が平行で横に長く膨らみがある。チームの川瀬基弘准教授(貝類学)によると、日本各地に生息するとされる「フネドブガイ」と形が似ている。

 チームは2020年6月に矢筈池を調査。見つけた二枚貝を当初はフネドブガイとみていたが、遺伝子分析したところ、日本には生息しないとされていたバルドウスキア・シャディニであることが判明。名古屋市や愛知県豊橋市、山梨県北杜市など国内5カ所で発見したフネドブガイとされていた標本13点についても同じ結果が得られた。

 川瀬准教授は「2つの貝は、生物を分類する単位の『属』が違うのに、誤認されていたのが意外だった。既存の論文や図鑑などにフネドブガイとして掲載されている貝も誤っている可能性がある」と話す。

 研究に参加する同大4年の横井敦史さん(21)=名古屋市西区=は19年、西区のため池でフネドブガイを発見し、市内初記録として論文で発表していたが、やはり今回の調査でヤハズヌマガイだったと分かった。「殻の形態で識別できないのは衝撃。各地の貝の鑑定も進めたい」と話す。

 研究成果は、大学を運営する学校法人「瀬木学園」の紀要に掲載された。

(2021年8月20日 中日新聞朝刊25面より)

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