赤不動と黄不動の模写を紹介する藤田さん＝長久手市の県立芸術大で

　県立芸術大（長久手市）の卒業生らが模写した密教絵画の展示「２つの不動尊－忿怒（ふんぬ）のみほとけ－」が、同大で３０日まで開かれている。入場は新型コロナウイルス感染防止のため事前申込制。

　同大は、１９７４年から古典絵画の模写制作に取り組んでいる。展示は春秋の年２回。今展では１０点を出品した。

　３月に模写が完成したばかりの国宝「不動明王像（黄不動、京都・曼殊院所蔵）」と重要文化財「不動明王二童子像（赤不動、和歌山・高野山明王院所蔵）」は、ともに平安時代後期ごろの作品で、１６０センチを超える。観察した上で絹に墨で輪郭を描き、岩絵の具など原本と同じ素材で緻密に色付けした。日本画専攻の卒業生らが１０人がかりで、３年かけて完成させた。

　制作代表の画家藤田哲也さん（４２）＝三重県桑名市＝は「牙をむいて威圧感を与えているのは、民衆を悪から守るためだと考えられる。何千年も拝まれてきた作品を目の前で体感してほしい」と話している。

　月曜は休館。電話または大学ホームページ上のフォームから申し込む。（問）同大芸術情報・広報課＝０５６１（７６）２８７３

　（西川侑里）

（2021年5月16日　中日新聞朝刊県内総合版より）