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新人写真家の登竜門「写真新世紀」 名学芸大の樋口さん最高賞
新人写真家を発掘する写真コンテスト「写真新世紀」2020年度(第43回公募)のグランプリに、日進市の名古屋学芸大メディア造形学部助手の樋口誠也さん(25)=名古屋市名東区=の映像作品が選ばれた。キヤノン主催で、国内外から過去最多の2002人・組が応募した。 (平木友見子)
■「水に流せないもの」映像で表現
作品名は「some things do not flow in the water(水に流せないものもある)」。樋口さんが、日本と歴史的に関係の深い、シンガポールのある場所で撮影した写真と一緒にシャワーを浴びる映像だ。20分間で、インクが流された写真を見ながら、写っていたものについて独白している。
昨年7月、世界各国の美術大の学生がシンガポールに集まる国際アートキャンプに参加した際、「消す」というテーマを与えられて作った作品。
樋口さんは、シンガポールの歴史を調べる中で、第二次世界大戦中の日本軍の占領行為に対し、リー・クアンユー初代首相が「許そう、しかし忘れない」と言った言葉が、深く心に刺さった。そこで、日本の「水に流す」という言葉を引き合いに、「流しても事実は消えない。だが証拠がなければ忘れ去られ、上書きされてしまうこともある」ということを映像で表現したという。
審査員からは、硬くなりがちな主題に「裸の付き合い」を入れるなど、ユーモアのある軟らかな視点が感じられたことなどが、高く評価された。樋口さんは来年度の「写真新世紀展」での新作個展の権利を賞品として獲得し、「これからも、つじつまが合わないけれどしっくりくるものを、微妙な余白は余白のまま、自分なりに考えていく作品を作っていきたい」と意気込みを語った。
(2020年11月30日 中日新聞朝刊県内版より)
■「水に流せないもの」映像で表現
作品名は「some things do not flow in the water(水に流せないものもある)」。樋口さんが、日本と歴史的に関係の深い、シンガポールのある場所で撮影した写真と一緒にシャワーを浴びる映像だ。20分間で、インクが流された写真を見ながら、写っていたものについて独白している。
昨年7月、世界各国の美術大の学生がシンガポールに集まる国際アートキャンプに参加した際、「消す」というテーマを与えられて作った作品。
樋口さんは、シンガポールの歴史を調べる中で、第二次世界大戦中の日本軍の占領行為に対し、リー・クアンユー初代首相が「許そう、しかし忘れない」と言った言葉が、深く心に刺さった。そこで、日本の「水に流す」という言葉を引き合いに、「流しても事実は消えない。だが証拠がなければ忘れ去られ、上書きされてしまうこともある」ということを映像で表現したという。
審査員からは、硬くなりがちな主題に「裸の付き合い」を入れるなど、ユーモアのある軟らかな視点が感じられたことなどが、高く評価された。樋口さんは来年度の「写真新世紀展」での新作個展の権利を賞品として獲得し、「これからも、つじつまが合わないけれどしっくりくるものを、微妙な余白は余白のまま、自分なりに考えていく作品を作っていきたい」と意気込みを語った。
(2020年11月30日 中日新聞朝刊県内版より)