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お知らせ  2020.08.25

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休校明け小中学校の不安は 鈴鹿大アンケート

 グラフ
 新型コロナウイルス対策で休校していた県内の小中学校が再開して3カ月近く。手探りの学校生活が続く中、子どもや教員は何を不安に感じているのかを探ろうと、鈴鹿大(鈴鹿市)が「学校再開後の学校生活」についてのアンケート結果をまとめた。子どもたちは学習の遅れを最も心配する一方、先生たちは子どもたちの健康状態を最も気に掛けていることが分かった。(斉藤和音)

 アンケートは学校再開後の6月中旬−下旬に実施した。津、鈴鹿、亀山市の小中学校の児童生徒と教員、県内の小中学校長ら1311人が回答した。「自分や他者の健康状態」「学習の遅れ」「心のもやもや」などの気持ちの度合いを0〜10の数値で答えている。問いに対し、気になることや心配に感じることが「よくある、とてもある」を10、「ない」を0とし、調査結果は中央値で分析した。

 子どもたちは、学習の遅れへの心配の値が5.0で最も多かった。小中学生とも学年が上がるにつれて高く、中学生では6.7と小学生の2倍近くに上った。

 「授業が早くて、たまに分からなくなる」「遅れている科目は卒業までに終わるか心配」との声も寄せられた。体調や心の変化については「最近給食を全部食べられない」「だるくてすぐ疲れる。学校までが遠い。前はそんな感じはなかった」との訴えが聞かれた。

 教員の心配の値は「子どもたちの健康状態」と「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」が、それぞれ7.8、7.0と高かった。「子どもたちの人間関係や学級の様子」は6.6と、「学習の遅れ」の6.1を上回った。「マスクを常につけているので、互いの表情が分かりにくい」「ソーシャルディスタンスを保ちながらの授業や仲間作りに限界を感じる」といった声もあった。

 フェースシールドの校内装着などの感染対策を取り入れた市では、そうした対策を取っていない市よりも子どもたちの感染を心配する値が低かった。

 元小学校長で、鈴鹿大こども教育学部の伊東直人教授は「勉強の遅れへの不安を強く感じている子どもたちに対し、先生たちは授業計画を公開して授業の進め方を説明し、学習や受験に関する相談体制を作る必要がある」と指摘する。第2波と夏休みが重なる状況もあり、「情報通信技術(ICT)を活用した家庭学習や遠隔授業の準備をしておいてほしい」と話した。

(2020年7月31日)

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