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中日新聞掲載の大学記事

2010.05.09

ピアニストの夢始動 名芸大入学『大変だけど頑張る』

■発達障害で自閉症 一宮の碇さん

 広汎性発達障害で自閉症の一宮市浅井町河端、碇(いかり)大知さん(18)が今春、半田養護学校桃花校舎(大府市)を卒業し、名古屋芸術大音楽学部(北名古屋市)に入学した。「ピアニストになるため、いろんなことを学びたい」。碇さんは始まったばかりの授業に胸を高鳴らせ、練習にも一層の気合が入っている。 (山田友美)

 保育園で鍵盤ハーモニカに触れ、「ピアノを習いたい」と教室に通った。障害のため、言葉で理解したり、思いを伝えたりすることは苦手。だが、「音楽で『会話』ができるから」と講師らに温かく迎えられた。

 小学5年生の時にコンクールで入賞。小牧市民会館ホールでオーケストラと共演した。演奏後に観客から盛大な拍手が送られ、「たくさんの人に喜んでもらえるのがうれしい」とピアニストへの志が芽生えた。

 名芸大で開かれる夏期講習に中学1年から参加していたのがきっかけで、進学先に選んだ。講師のピアニスト中沖玲子さんに出会い、「表現力を高めてくれるレッスンに興奮した」という。高校時代は休まず練習を続け、無事第1志望の同大に合格した。

 大学の授業では、ピアノの実技だけでなく音楽理論や音楽史、語学などを幅広く学ぶ。「大変だけど頑張りたい」と碇さん。

 入学後、あこがれだった念願の中沖さんのレッスンも受けた。碇さんは優しく滑らかな指使いで、お気に入りのショパンの曲「ノクターン」を披露した。

 中沖さんは「大学に在学中、レパートリーを増やし、さまざまな音楽のスタイルを学びながら、自分の良さを伸ばしてほしい」とエールを送った。

(写真)ピアニスト中沖玲子さんのレッスンで、お気に入りのショパンの曲を披露する碇大知さん=北名古屋市の名古屋芸術大で

(2010年5月9日 中日新聞朝刊尾近知総合版より)
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