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学生活動  2018.10.21

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「身近な理想」に熱視線 SNSで影響力 インフルエンサー

インスタグラムの投稿を確認する山本真都佳さん=名古屋市東区で

インスタグラムの投稿を確認する山本真都佳さん=名古屋市東区で

 インスタグラム(インスタ)など会員制交流サイト(SNS)で影響力を持つ「インフルエンサー」と呼ばれる人たちが名古屋でも活躍し、注目を浴びている。20、30代を中心に多くの固定フォロワー(読者)を獲得する彼女らに対し、地域の若年層へ売り込みを掛けたい企業が熱視線を送る。識者からは、過度なPR活用を戒める声も上がる。 (森若奈)

 「インスタグラムは、自分の好きな物が詰まった場所にしたい」。こう話すのは、金城学院大4年の山本真都佳さん(21)。高校3年生から「madochosu」の名前でインスタを使い始めた。

■「読者」1億人超えも

 インフルエンサーは「影響を与える」という意味の英語が語源で、インスタグラムやツイッターなどのSNSで多くのフォロワーを抱え影響力を持つ個人を指す。フォロワーが数10万、数100万人の著名人だけでなく、数1000、数万人の一般人もこう呼ばれる。

 最近では、インスタで1億人を超えるフォロワーを持つ米人気女性歌手のテイラー・スウィフトさんが、ツイッターのフォロワー約5500万人のトランプ米大統領を向こうに回す形で野党・民主党への支持を表明し、話題となった。日本では、お笑い芸人の渡辺直美さんがインスタで800万人以上のフォロワーがいる。

■「かわいい」共感 企業もPR期待

 コラージュやイラストを添えた日記をスマートフォン(スマホ)で撮影し、毎日インスタのページに投稿。「かわいい」と共感を集めた。100人ほどだったフォロワーが増え、2年前に1万人を突破。現在は1万2000人に達した。

 フォロワーの多さを武器に、インスタ上で企業の宣伝を引き受けることもある。大手旅行会社の企画で無料でグアムに行ったことも。ただ、インスタは大切な自己表現の場と位置付けており「自分の趣味や方向性に合った依頼だけを選ぶ」方針という。

 一方、南山大4年の加藤里奈さん(21)は、山本さんより積極的に企業のPR依頼を引き受ける。昨年「ミス南山」に輝いたことで注目され、2万9000人のフォロワーがいる。

 企業から無償で提供される化粧品などの商品を撮影し、使ってみた感想と一緒に投稿する。「使ってみたい化粧品だったらギャラが安くてもオッケー」とさばさばと話す。報酬は1件につき数1000〜数万円だ。

 「フォロワーも宣伝と分かって見ていると思う。私たちの世代は何か知りたいと思ったら、テレビより、インターネット検索より、インスタ。『実際使ってみてどうですか』という質問にも丁寧に答える」

 インフルエンサーをPRに起用する企業も増えてきた。名古屋・名駅の百貨店「ジェイアール名古屋高島屋」は、昨年春の新店舗「高島屋ゲートタワーモール」開業時に、インフルエンサー10人に宣伝を依頼。館内での過ごし方や商品について、インスタに投稿してもらった。

 同店広報は「新店舗は、百貨店で捉えきれていない若年層やファミリー層がターゲット。その層と親和性が高い彼女たちを起用することで、タイムリーな発信ができた」と振り返った。

■純粋な投稿 境界あいまい 報酬で宣伝

 SNSの普及とともに、インフルエンサーは新たな広告媒体として注目され、企業との間を仲介する広告会社まで生まれている。

 南山大経営学部の川北真紀子教授(マーケティング)は「例えばファッションの世界でも、海外セレブは遠い存在だけど、インフルエンサーは身近。コーディネートの参考にもなりやすいのだろう」と解説する。

 企業がインフルエンサーを活用する手法は、記事掲載用の商品の無償送付や掲載報酬の支払いまでさまざま。広告会社の中には、記事の文面や写真の撮り方、投稿日などを細かく指定するところも出ている。

 一方で、新聞などの広告とは異なり、インフルエンサーが純粋に自分の思いや考えを投稿した記事と、報酬などに基づくPRとの境界はあいまいだ。広告目的なのに、自発的に商品などを推しているように装う「ステルスマーケティング(ステマ)」のような手法も多いという。

 川北さんは「広告がステマと見なされれば企業自身も批判を招く。インフルエンサーがその企業の商品やサービスをよく理解し、自発的にPRしてくれるような関係を築いてほしい」と話す。

(2018年10月21日 中日新聞朝刊31版より)

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