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イベント  2018.06.02

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遺跡の中で日常生活 名外大 ヤマザキマリさん異文化語る

発想の原点となる体験を話すヤマザキマリさん(左)=日進市の名古屋外国語大で

発想の原点となる体験を話すヤマザキマリさん(左)=日進市の名古屋外国語大で

 2010年にマンガ大賞を受賞し、阿部寛さん主演で映画化もされた、古代ローマと現代を温泉でつないだ「テルマエ・ロマエ」などで知られる漫画家・随筆家のヤマザキマリさん(51)が、日進市の名古屋外国語大で講演した。400席の教室は満席で、補助席も出るほどの人気ぶり。異文化体験から得た発想の源泉を語った。(菅谷仁志)

 東京都出身。17歳でイタリアに渡り、国立フィレンツェ・アカデミア美術学院で油絵と美術史を専攻した。1997年に漫画家としてデビューし、16年には芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した。

 講演は同大の30周年記念事業の一環。同大外国語学部世界教養学科の野谷文昭教授が、知的でユーモアある作品の作者として人選。対談形式で進めた。当初設定した150人の教室を上回る申し込みがあり、学内で一番大きな教室に会場を変更した。

 ヤマザキさんはテルマエ・ロマエのきっかけになったシリアでの体験を紹介。遺跡を巡っていたとき「神殿の柱の間にブラジャーやパンツが干してあり、中からおっさんが出てきて時空がゆがんだ。遺跡という概念がなく普通に住んでいる。2000年前に来たと思っても全くおかしくないと感じた」と会場を笑わせた。

 作品では「正義の味方、みんながいいと思う人を描くのはつまらない」と、古代ローマの植物学者でローマ艦隊司令長官プリニウスや、アップル創業者スティーブ・ジョブズさんなどユニークな人物を描くことが多い。

 「遠くから見ているのはいいけど、親戚、夫には持ちたくない。でもそういう人たちでないと、ひとかどの何かを出せない」という。

 ジョブズさんの言葉から「素晴らしい物を生み出せる人は科学的な脳と芸術的な脳の中間にいなければいけない」と紹介。「どんなことにでも応用できる。別な要素のものが入ってくると負荷は大きくなるけど、その分だけ出てくる物は面白くなる。専門を閉ざす必要はない」などと話した。

(2018年6月2日 中日新聞朝刊なごや東版より)

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